気功のひろば
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2020.01.18

めぐりのよい身体と社会

1/17、京都キャンパスプラザで、
経済政策の専門家、田中信一郎さんの講演を聞いてきました。

関西立憲経済女子同友会主催の『政権交代が必要なのは、総理が嫌いだからじゃない
 私たちが人口減少、経済成熟、気候変動に対応するために』(現代書林)刊行記念講演会。
後半は立憲民主党代表の枝野幸男さんがちょうど神戸からの帰路に立ち寄られ、
質問を受けながらお二人の対談となりました。

田中さんのお話は1時間。
「日本は今、急激な人口減少という有史以来経験したことのない社会現象に遭遇している。
2008年をピークに60万人ずつ、毎年、船橋市一つ分の人口が減っている。
なんの手も打たずに今の政治や社会状況が続いたら、少子化がさらに進み、
100年後には日本の人口は4000万人台まで減少してしまう。
ということが、国土交通白書を見ると一目瞭然。…」

その原因を、非正規を増やしてきた政策、縦割の社会体制などに見て、
「根本からの改革、つまり
全く新しいビジョンを持った政党によるパラダイムシフトが必要な時期」と。

大きな公共事業や、大企業が利益を上げれば景気がよくなってみんな豊かになる、というのは、
人口が増加し、経済規模を拡大していけた時代のモデル。
「全体が豊かになればみんなが豊かになる」と言えば、一見正しく見えますが、
大企業の利益は過去最大なのに実質賃金は下がり、
単純にお金が大企業へ動いただけで、生活は豊かになっていないので、
現状に合わず、うまくいかないモデルと言えます。

そうではなくて、
末端が活性化して有機的につながりあい、地域で利益を循環させて、地域も経済も豊かになる。
そうした新しいモデルは、タケノコのように自然発生しているけれど、
本質的な経済政策につながることを理解できる人もまだ少ない。
けれど旧態依然のままでは限界で、人々が自ら動こうと思っても制約が多く、
個人の動きが自由にできない。

この改革はある意味、予算では計れないものがあるでしょう。
ある場所に予算を投入して活性化させ、大きなお金の流れを作るのではなく、
むしろ、人々が自由に活動するための制約や障壁になっているものを取り除き、
お互いの活動がつながりやすい法や仕組みを整備していく。

こうした流れは、今後一気に進んでいくと私は思っています。
なぜならば。

講演と対談を聞いていて、「これは、体の末梢循環と似ているな」と思いました。

メインポンプの心臓だけをいくら丈夫にできたとしても、
末梢の循環が悪くなっていると、
血圧が上がったり、冷え性になったり、脳卒中になったりと、
いろんな障害が出てきてうまくいかない。

それよりむしろ、ほっとおちついて、体がゆるんでいくと、
すみずみまで気血やリンパの循環がよくなり、
心臓の負担も減るため、ゆとりを持って楽に働くようになるので、
血行障害や冷えも改善しやすくなります。

これが、大手術や筋力トレーニングを頑張るなどの
大変なことかというと、そうでもなく、
時々目を休めて温めるとか、
休憩になったら、ふーっとゆっくり息を吐くとか、
自分の体にちょっと目を向けてケアするようになると、
早い人はその場で、たいていは一週間ほどで、
体のめぐりが変わってきます。

身体は生命体ですから、
より快適に生きようとする能力が元から備わっています。
だから、内なる生命力そのものに目を向けて、過剰な意識や頑張りを手放すだけで、
体はどんどん変わっていくのです。

社会というのも人の集まりですから、
有機的な生命体と言えます。
社会が本来持っている、気持ちよくみんなで生きていこうとする力、
いわば「社会的な生命力」に目を向け、
その働きを阻害しているような制度や慣習をなくし、
「経済政策」という名のもとに続けられてきた、特別な誰かや組織への優遇という
不毛な努力を手放していくことで、
社会の健康化は意外なほどスムーズに進んでいくだろうと思います。

これは私が、一人一人の体を見ている実感で、
社会もそうだろうと思うからです。

こうした社会変革ががもし、政権交代で実現すれば、
静かな革命がおこります。

大きな闘争もなく、派手な鳴物もない。
でも確実に、根本のところから流れが変わっていく。

生命原理を土台とした、めぐりのよい社会へと。

1.17、阪神淡路大震災から25年。
大きな犠牲があり、たくさんの貴重な命が失われましたが、
そこから、みんなが自発的に助け合うボランティア活動や
NPOという動き方が広がっていきました。

私たち気功協会も、その一端を担うNPOとして、
心を新たにして活動していきたいと思います。

天野泰司

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