気功のひろば
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2013.07.25

生命之書

生命之書

5年前に、台北の誠品書店で吉田が偶然に見つけた
クリシュナムルティの「生命之書」。
英語の原題は「The Book of Life」。

365日のそれぞれの日付に、一話ずつ。
内容もよさそうだし、デザインもスッキリしているし、中国語の勉強にもなる。
「これはいいね」とすぐ購入。
日本に帰ってから調べてみると、当時日本語訳はまだ出ていませんでした。

2011年、『四季の瞑想 クリシュナムルティの一日一話』(コスモス・ライブラリー)として日本語訳が出版されましたが、吉田から
やはり英語の原文を直接読んで、本質を
わかりやすく、やさしく教えてほしいとリクエストがあり、
注文していた原書が昨日手元に届いたので、つたない英語力ながら、さっそく自分なりに訳してみました。

クリシュナムルティが伝えようとしているのは、
何かの考えや信条ではなく、
ダイナミックに変化流動している、
この生命空間と直接にふれあうことです。

ですから、難しい言葉はむしろ不要で、
なるべくやさしく日常的な分かりやすい言葉で訳してみたいと思いました。

Sorrowは、単純な悲しみというよりは、「悲嘆に暮れる」というような
ある出来事を思い出して、悲しく苦しい心持ちになる意味合いが強い言葉です。
だから、そうやって嘆き悲しむことは、ただ自分で自分を苦しめているので、本来の状態ではない。
ある思想や信仰に頼ったり、あるいは何かの代償行為に走る従来の方法では、本質的には何も変わらない。
と、いろんな例を出しながら、クリシュナムルティは説明しようとします。

思考は、本来、とても自由なもので、
あるひとつの考えにとどまることなく、いつもスラスラと流れています。
固定した不自然な思考に気づき、自在に変化している自然な思考が目覚めることが根底に流れている主題です。
そこがはっきり分かっていると、クリシュナムルティの言葉は、すーっと胸に響いてきます。

私が、講座「気功の学校」や教室で日々実践していることは、
具体的な体を通じて、流動変遷している自然に気づくこと。
ありのままの体の自然とふれあうとき、心も体も大きく変わっていきます。
それは何か新しい特別なことをするのではなく、
ただシンプルに、そのままの自分と向き合っていくことです。
腕をぶらぶらと振っている中にも、自然の働きと、
その自然を阻害している不自然な働きとがあって、
ただその不自然な働きに気づくことだけで、動きの質が見事に変わり、
力がいい具合に抜けて、見ていても美しく感じます。

クリシュナムルティの言葉は、
気功の本質と、しっかり響き合っているので、
こうして紹介したくなるのです。

ふと気が向いたら、どこかをピックアップして訳すかもしれません。

天野泰司

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