気功のひろば
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2011.03.18

手をあてる

「てあて」をしてみましょう。

ぽかんとして、ただ、手がいくところに
ふんわりと手のひらをあてて、
呼吸にそった体の動きや、暖かさ、やわらかさなど、
手のひらに伝わってくるものを感じます。

しばらく手をあてていると
呼吸にそった動きがとてもはっきりしてきたり
暖かさや、やわらかさが増してきたり
いろんな変化が感じられることでしょう。

そして、その変化の波もだんだんにおさまり、
手のひらも自然に離れていきます。

「てあて」とは、こうして、
無心になって体の声を聴いていくことです。
ただ手をあてているだけでも
病気や傷は回復に向かっていくのだけれども、
雲一つない青空のような心、「天心」に近づけば近づくほど
てあてはその効果を見事に発揮してくれます。

少しでもよくなってほしいとか、回復してほしいという気持ちも
てあてをする時には余分なものです。
いろいろ考えたり、心配したりするより、
ただ無心になって手をあてていると、
体は速やかに自然の働きを取り戻していくのです。

必要なところには、自然に手が引かれていきます。
そして、必要がなくなれば、手のひらは自然に離れていきます。

整体では、てあてのことを
愉快な気と書いて、「愉気」と言います。
大正12年の関東大震災の時に
整体を創始した野口晴哉氏(当時はまだ少年)が
けがや病気で苦しんでいる人を見て、
手をあてることを自然にやりはじめたのだとか。

手当と言えば、簡単な治療を意味するように、
手をあてるということは、おそらく私たち人間が
昔から本能的に行ってきたことなのでしょう。
その元々持っている自然の力を
晴哉少年は大災害のときだからこそ、
自ずと発揮してしまったのかもしれません。

体のどこでもよいですから、
まず、自分自身に手をあててみましょう。
そして、家族や友達どうしでお互いにてあてをしてみてください。
てあてをしていると、ただ体が楽になっていくだけではなく
自ずと心が無心になっていき、
てあてをしている側も、てあてしてもらっている側も
共に、すーっとした心と体に戻っていきます。

てあては天心でおこなうもの。
そして、てあてをしていると
自ずと天心に近づいていくのです。

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