コロナを経て、今学ぶもの
2021年「気功の学校・ゼロ(配信)」、そして3月からの「気功の学校」。
始めるにあたって、天野からのメッセージをひきつづきお届けします。(純)
2021年・気功の学校 基礎科&本科 開講に向けて
担任講師 天野泰司
昨年からのコロナ禍の影響で、気功の果たす役割はさらに大きく広がりました。そのポイントは大きく四つあります。
- 自分で治る力を引き出す
- 家にいながら簡単にできる
- 不安やストレスを軽くする
- 心、体、生活が自然へ還っていく
それぞれ新しいことではなく、本来の気功の特徴と重なるものですので、
気功が、この時代に、あらためて脚光を浴びている技法だと言っても過言ではないでしょう。
- 自分で治る力を引き出す
風邪やインフルエンザと同じように、
新型コロナにかかりやすい人とかかりにくい人とがあり、
また、治りやすい人と、症状が長引く人とがあります。
考えてみればあたりまえのことですが、同時に忘れられがちなことです。
そして、今回のコロナではっきりしたことは、特効薬がなければ、
体の内にある「治る力」を発揮する以外に、方法はないということです。
そして、どんな治療法や薬を使ったとしても、
自分の力を発揮しなければ治癒ということはありえません。
気功の主眼はこの「自ら治る力」を引き出すことです。
気血の巡りをよくして、呼吸を深く、体を活発にし、精神を安定させ、
深い眠りが自然に訪れるようになると、免疫の働きも活性化して、
病気に冒されにくく、また病からの回復がスムーズになります。
ただ私たちは、病は必ずしも悪だとは考えていません。
病や発熱、咳などの症状にはそれぞれ役割があって、
症状を自然に経過することで、停滞していた機能が働き出し、
本来の活発さを取り戻すことができるからです。
一般に自然治癒力といわれるものは、病からの治癒のみを指しますが、
病にかかり、体の改変をすることも含めて、大きな視野で
「健康」ということを捉えなおす必要があるでしょう。
病や健康に対する考え方が変わることは、とても大きなことです。
もし、間違った認識を持って病に対処し、健康を作ろうとしていたら、
どんなに努力してもそこから遠ざかってしまうし、
ピタッと本質を捕まえることができれば、必要最低限の力と工夫で病の波を乗りこなし、
しなやかで強い、健康な心身を手に入れることができるでしょう。
私たちの気功のアプローチは、とてもシンプルでわかりやすいものです。
無理のない自然な姿勢をとる。
楽な方へ自然に動く。
強ばりや緊張をゆるめる。
身体感覚を鋭敏にする。
その上で、体の自然の働きにまかせる。
こうしたことは言葉だけではなく、理解した上で、繰り返しなじみ、
体に定着させる必要があります。
それを可能にするのが今回のWeb講座「気功の学校・ゼロ」です。
あなたに向かって直接語りかけるように講座は進み、
Live配信のあとは、繰り返し映像を見て、
自然な考えになじみ、姿勢や動作を何度も確認しながら身につけていくことができます。
気功に努力ということは似合いません。
心地よい感覚を楽しみながら、頭を働かせることも最小限にして、
マイペースで楽々と自然に学んでいきましょう。
- 家にいながら簡単にできる
ステイホーム。なるべく人との接触を避けて、自分一人で過ごす。
感染症を防ぐための最も原始的で物理的な対応策ですが、人間は1人では決して生きていけません。
その意味では他人との接触をなくすことは不可能ですから、
節度やマナーということが当然大切になりますし、それが難しい場合には
強制的な規制が働くことも出てくるでしょう。
何が不要で、何が必要な外出なのかは判断に苦しみますが、
そうして自分にブレーキをかけ続けていると、どこかで反動がやってきます。
大切なことは、外に楽しみを求める前に、内に楽しみを見つけること。
発散やストレス解消のみに気を向けるのではなく、
家や家族での生活を満ち足りたものにして、内なる充実感を深めていくことではないかと思います。
気功は自分と静かに深く向き合う方法ですし、
人と人との本来の結びつきや助け合いを促進する面が強くあります。
今回はWeb講座「気功の学校・ゼロ」が誕生して、
いながらにして自宅で気功の真髄を学べる、広々とした入口ができました。
そして、継続して楽しみながら学んでいくことで、
外に出向かなくても、自分の内なる大自然と豊かにふれあい、
充実した1日1日を過ごすことができ、
また家族のケアをしたり、お互いに支えあったりすることが
より自然にできるようになっていくでしょう。
- 不安やストレスを軽くする
コロナとの戦いは、不安やストレスとずっと隣り合わせのものでした。
そうした心理的な負担の増加は、当然体にも影響し、体調を崩す人も多くなってきますが、
心理的なケアは、一部の専門家に頼るような傾向がいまだに強く、
自分で心を楽にしたり、本来の心の明るさを取り戻すような方法は、意外と少ないものです。
また、習得に時間がかかったりハードルの高いものが多く、
心のセルフケアが広がっていくのは、まだこれからです。
気功では、心と体を別々ではなく
表裏一体のものととらえています。
身体を深くゆるめていくと、ふっと心が軽くなり、
微笑みを保ちながら動いていると、体がすーっと楽に動き出します。
そうして、常に心と体、両方を見渡しながら、できるだけポカンとして、
体の自然な回復力が働くようにしていくと、
とても単純でやさしいことをしているのに、それだけで
塞いでいた心に明るさが戻ってきたり、
ずっと抱えていた不安が軽くなったり、
ストレスに感じていたことがそこまで負担にならなくなったりしてきます。
こうした、誰もがやさしくできる心のケアは、
この時代だからこそ本当に広がってほしいものです。
- 心・体、生活が自然へ還っていく
コロナの影響で、自宅中心に働き方が変わったり、
不要な会議や出張が減った方もあるでしょうし、
過剰なまでに膨らんでいた、工業生産、人の移動、経済活動などが
全世界的に必要最低限の活動にセーブされた面もあり、
地球全体の自然環境も息を吹き返しています。
「儲かる」という観念を中心に動いていた世界は、
物質的な急成長を遂げた反面、代償として、苦労や貧困を生み出したり、
人間本来の喜びや楽しみを見えなくしてしまった面があり、
成長し続けることの限界もすでに目前にあります。
人間が自然から離れ、お金や物欲に流され過ぎたことへの強力なブレーキとなった
プラスの側面もあるでしょう。
そうした意味で、コロナは単なる災いではなく、
時代の転換点に現れた象徴的な病ということもできるでしょう。
世界全体が一度立ち止まってみた今だからこそ、気がつくことがあり、
変わっていくことがあります。
それは大きな話ではなく、一番身近な自分の心や体との
向き合い方から始まっていきます。
外へ外へと向かっていた感覚を、一度内側に戻して、
そっと私にふれたり、楽に気持ちよく動いたりしながら集中してみる。
そこから体との無意識下の対話がはじまり、
眠っていた自然の感覚がよみがえってきます。
体の自然が目を覚ますことで、心身が元気になるだけではなく、
自然なライフスタイルを選ぶようになり、
家族や親しい方との関係がやわらかで気持ちよくなり、仕事がスムーズで楽しくなったり、
人のために働くことに夢中になったり、思わず
誰かのために動いてしまうことが増えていくでしょう。
これらは観念的なことではなく、自然にそって
体の働きをていねいにみていると、自ずと感じられることです。
気功を学ぶということは、自然を学ぶということ。
だから先生は外側にいるのではなく、
体内にある精妙な自然の働きが、本当の先生です。
とてもやさしい方法で、自然ということを深く深く学んでいきましょう。
共に自然を学ぶ仲間を募ります。