気功のひろば
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ブログ

2019.11.01

気功生活 Vol.115

気功生活115号  

天地人

私の中に、
天地自然の働きがある。
私の働きが、
天地自然の中にある。

 

【目次】

天災と人災 天野泰司
蔦町の家 番外編 〜蔦町基金 森田 徹
特集・いのちの学校
 人生の秋〜更年期・成熟期
 はぐくむ 講義録・感想
再読・子どもの幸せのために
The Book of Life 10/15・11/2
禅密高野山合宿・三円功・気功の学校2019   
秋明菊 吉田純子
けいじばん・お知らせ 

 

天災と人災

天野泰司

台風と温暖化
 台風19号が日本を通り抜け、アラスカまで大荒れの天気。関東や長野、東北などで記録的な豪雨や河川の氾濫がありました。強風の15号と、連続して災害にあったところもあります。みなさんのところは大丈夫でしたか。被害の大小に関わらず、心からお見舞い申し上げます。
 昨年の台風も猛威をふるい、甚大な被害がありました。日本だけでなく世界的に台風やハリケーンの大型化が進んでいるのは、温暖化による気温と海水温の上昇が主な原因と言われています。温められた海からたくさんの水蒸気が昇り、雲ができると上昇気流が起きて減圧になり、海面の水蒸気をどんどん吸い上げて、さらに雲が大きくなって渦を巻き、台風が成長する。研究者たちの間では、温暖化が進行すると、急速に発達する非常に大きな台風が多くなることがかなり前から予測されていました。台風の進路が変わり、速度がゆっくりになっていることも被害を大きくしている要因ですが、それも温暖化と関わりがあるようです。日本にとっては、本当に切実な問題です。

 こうして見ていくと、自然災害と言っているものも、人が環境を乱して作っている部分もあって、純粋に天災とは言えず、むしろ人災と考えざるを得ないところが出てきています。台風通過と同時期に、カリフォルニアでは大規模な山火事がありましたが、それも近年の統計から見ると、温暖化の影響を否定できません。
 ひとたび大災害が起こると、被害の規模も金額も甚大です。大きな視点で見ると環境を護ることこそが経済優先の政策と言えます。私たちの暮らしが、もっと環境を重視するようになり、温暖化を止める方向へ大きく進んでいくことを願っています。

自然環境と気功
 森の中、海や川、湖畔などでの気功はとても気持ちよいですね。豊かな自然の中で体をゆるめ、感覚を開いていくことで、大自然との一体感を感じ、心も洗われていきます。
 気功をしていると、自ずと周りにある自然や環境も大切にするようになります。掃除をすると部屋が気持ちよく快適になるのと同様に、環境の影響を身近に感じて、少しでも良くしようと、体が動き出してしまうのです。これは、環境を護らなくてはと考えて行動するのとは違って、自主的、能動的な体の反応なので、考える以前に肌で感じて動いてしまうのです。
 今までの環境保護は、問題を明らかにして警鐘を鳴らすことで進んできました。深刻な状況が明らかになってもなお、なかなか行動が伴わない状況にあるのは、私たちの感覚が鈍っていて、どこか他人事のように思ってしまうからではないかと思います。
 でも直接感じるものがあれば、この災害の連続と甚大さは異常だと勘づいて、環境を大切にしようという心にポッと火が灯るようになるでしょう。すでにそうしたお声も聞きます。ですから、気功が広がっていくことは、自然環境を護る、着実で大きな力になっていくだろうと思うのです。
新刊『季節の気功』決定!
 今、ちょうど新刊の原稿を書いているところです。昨年製作したパンフレット「季節の気功」を土台に、春夏秋冬、各季節にぴったりの気功や、季節特有の症状への対処法、暮らしの工夫や心の持ち方などを一冊にまとめていきます。
 季節の変化に応じて気功をすると、体の変化も大きくなります。外側の自然と、「体の中の自然」とは、いつも響き合っているので、季節の変化に即応すること自体が天然の気功。だから普段の気功メニューに、「季節」という観点と工夫が加わると、鬼に金棒。相乗効果で体の中の自然の働きがどんどん目覚めていきます。
 春秋社さんから、花粉症シーズンに間に合うよう、2月刊行予定で進行中です!

蔦町プロジェクト
 2020年4月の事務所移転に向けて、打ち合わせを重ねています。古い日本家屋の良さを残しながら、環境の変化に合わせ、かなり手を入れることになりそうです。ここ数年の京都の夏の暑さは記録的。冬は冬で底冷えが厳しく、屋根の遮熱と床下の断熱は省エネの観点からも不可欠です。竣工当時にはなかった小高い建物で日差しが遮られるので、皆の集まる一階には、温水の床暖房を検討中。春や秋には大きく窓が開いて風が通り、厳しい暑さ寒さにはペアガラスと太鼓張内障子の三重の空気層で熱と冷気を遮る。窓高は低めに変更して、庭の緑に視線を落とすなど、自然を身近に感じながらも快適性を保つ工夫を随所に盛り込んでいきます。
 蔦町基金は、既に70万円を越えました。みなさん本当にありがとうございます。手渡しで大きな金額を包んでくださったり、継続的に何度もご寄付くださる方もあり、純粋で美しいお気持ちに頭が下がります。少額の振込も、通知を受け取るたびに、心熱くなるものがあります。暖かな心と大きな支援を感じ、日々の仕事、講座や合宿、会報づくり、本の執筆などあらゆることに自然と熱が入ります。
 社会が乱れ、経済的にも厳しい風が吹くこの時代に、寄付が集まって気功協会という広場が続いていくことは、本当に貴重で素晴らしいことだと思います。

てあての心で
 今、私たちしか知らないことがあり、私たちにしかできないことがあります。気功というツールはシンプルでやさしく、自分の力で変わることができます。ただ考えが変わるだけでも、健康な人は確実に増えます。体の内に健康になるための力をみんな持っている、潜在的にはみんな健康だとも言えます。気功を通じて、体でその力を感じると、本当に簡単なことしかしていないのに、心身が次々と変わっていきます。自然を身近に感じたり、生活にゆとりや楽しみが増えたり、生き方も自然の流れに沿って心地よく変化していくでしょう。

 そして、気功には伝わる力があります。無心に、静かに集中することが、体の内にある自然の回復力を高める最良の方法であることを、私たちは経験的に知っています。無心に動いていると変わる。ポカンとして手をあてていると変わる。意識や視線を集めるだけでも変わる。そして、誰かに手をあてたり、離れている誰かにてあてをしているような真っ白な心で集中すると、気の交流が生じてより明瞭に変わる。
 何かあった時には、誰でもそこにサッと気が集まる。でも不安や心配に染まった気は、重く感じます。だから、まず被災地の方向に体を向け、一瞬その場所や人のことをイメージしたら、あとは真っ白な心になって、「心がおちつく やさしい気功」を。無心になるほど、純粋な気が集まり、「てあて」のような暖かで天然の慈愛に満ちた心が伝わっていきます。
 「てあての心」を各地へ届けていきましょう。

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