気功のひろば
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ブログ

2018.09.11

気功生活 Vol.107

思いやり

自由自在に
必要な処へ
心が動いていく。

 

【目次】

てあての心 天野泰司
心がおちつくやさしい気功 夏ver.
2018総会 青不動 植福の祈り 報告&感想
性と気功
初夏の講義録 先天に戻る、梅雨を快適に
夏の養生 汗をかく
諏訪気功散歩 後編〜縄文王国
The Book of Life 6/2、6/19
座布団勧進 吉田純子
MacBook基金Ⅱ 収支報告

 

てあての心

天野泰司

 6月18日の朝に、大阪北部で大きな地震がありました。震源地の高槻市には、気功協会設立時に事務所があって、付近の会員さんも多かったのですが、すぐ連絡が取れる方には連絡をして、みなさんご無事のようでほっと胸をなでおろしました。震源から近いところでは、ガス、水道が止まりましたが、順次復旧しているようです。
 地震の翌日に阪急電車が復旧したので、茨木市にある吉田の実家へ行って、倒れた本棚を戻したり、なだれ落ちた物や本を整理してきました。テレビやスピーカー、重いアルバムなども落ちてきていたのですが、幸いにして両親ともに怪我はなく、てあてをして帰ってきました。
 京都でも大きな揺れを感じましたが、壊れたものなどはなく、事務所は無事です。

心を澄ます
 不意の災害に梅雨が重なって、気分も塞ぎがちですが、こんな時にこそ、
心をおちつけて、静かで澄んだ心持ちを保つようにしたいものです。
 用心は大切だけれども、不安はない方がよい。ところが、ちょっと気にかかることがあると不安がふくらみ、心配が増してきます。すると不要な緊張や苦しみがずっと続くことになり、気力も体力もいつも通りに発揮できない状態になってしまいます。また不安な心で誰かに心配を集めると、そのなんとなく息苦しい緊張感が直接相手に伝わり、相手に負担をかけてしまうことにもなりがちです。気にしてもらうのは確かに嬉しいのだけれど、不安や心配を集められると、心がそれに響き合って、体も固まってしまう。
 だから、もしどこかに大変な思いをしている誰かがいらして、助けになるようなことをしたいと願うのであれば、できる範囲で具体的な手助けをするのはもちろんですが、一方で、不安や心配に染まっていない、純粋で、暖かで、透明な心をその方に向けるようにしていきます。

愉気とてあて
 そうした純粋な気の集中のことを、整体の野口晴哉さんは「愉気」と呼んでいました。気を輸るのではなく、愉快な気を向けるのだと。愉快ということも本当は必要ないのかもしれないけれども、純粋な気を集めていると自ずと快活で、楽しく、満ち足りた感覚が生じてくるので、愉気をしていると結果として愉快になることは確かです。
 私たちはそのことを「てあて」と呼ぶようにしています。特別な何かではなく、生活の中で誰もが自然にできることですし、やっていることでもあるので、日常的な普通の言葉で表現したいと思ったからです。ひらがなに開いてあるのは、いわゆる「手かざし」や超能力で病気を治すような誤解を避けるためでもありますが、直接手をあてることだけでなく、「手をあてて無心に集中している時の気持ち」=「てあての心」を相手に向けることも、その中に含んでいるからです。

心の自由
 「無心」が大切なのは、そこに自由がもたらされるからです。
 生命の本質は自発性にあります。自ら生まれ、食べ、眠り、成長し、働き、誰かを好きになり、老い、死んでいく。その全てが自発的に進んでいることを「十全に生きる」と言ってもよいでしょう。その生命の自発性を支えているのが、心の自由です。「こんなことにはならないように」と怯えながら行動しているとしたら、本来の生命力は発揮されません。また「こんなご褒美がある」という誘惑に心が従うのだとしたら、その決まった方向にしか力が出せなくなってしまいます。だから、無心に集中することは、とても貴重で、本質的で、生命のいちばん根っこの何かにふれる体験となるのです。

何かあったときに
 心は、自由であるがゆえに大きく揺れ動き、だからこそあらゆるものに細やかな気配り心配りが可能になります。ですが、辛い状況が続いたり、ある固定した方向に心が繋がれてしまったような時には、一度そのこわばりをほどいて、元々の自由へ、本来の力が発揮できる状態へ戻してあげることが必要です。
 「心がおちつくやさしい気功」は、その「心の自由」を回復していく、とても自然でやさしい方法です。そっと体にふれ、ゆっくり気持ちよく動いていると、自然な感覚が目覚め、元々の自由で自発的な動きがあふれてきます。
 そうして、改めて不安や心配に向き合ってみると、受け取り方が既に変わっていることに気づかれるでしょう。
 その時点で、もう心は自発的に解決の方向に向かい始めています。その方向性に添って、体も行動も変わっていきますので、何かあった時には、無心に「てあての心」を集めることがとても大切です。ほっと心をおちつけ、大きな流れに心をまかせていきましょう。

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