気功のひろば
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ブログ

2016.11.01

気功生活 Vol.97

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愛する

あなたがない。
私がない。
そして全てがある。

 

【目次】

ゼロに還る 天野泰司
気功の学び方 モデルプラン
秋の気功
イッチーさんと行く 香川うどん散歩
秋の講座レポート
The Book of Life 9/3、10/17
北から南から 熊本
秋の雨 吉田純子

 

ゼロに還る

天野泰司

願書受付!
長雨が晴れ、京都は急に秋が深まってきました。
東山からゆっくり昇ってくる月の明るさが、
あまりにも見事で心を深く打たれます。

2017年の「気功の学校」、募集がいよいよ始まります。
気功の基本を学ぶ年間コースとして
2002年の初開講からバージョンアップを重ね、
ここ数年は特に満足度の高いレッスンが続いています。
新刊『はじめての気功』が出版されて授業がさらにわかりやすくなり、
前期が一日増え、今が受講のチャンスかもしれません。

自然が先生
「自然に学ぶ」という気功の学校の基本姿勢は、
中国気功界の大御所的な存在であった
恩師・劉漢文先生から譲り受けたもの。
2000年にはじめて大連に劉先生を訪ねた交流の旅は、
それまでに抱いていた気功に対する考えを一変させるほど
大きなインパクトのあるものでした。
「先生はいない」「共に学ぶ同級生」「小学生のように交流しよう」と、
あらゆる学びにありがちな堅苦しい上下子弟の壁をあっさりと崩し去り、
リラックスしたほがらかな空気の中で、
惜しげもなく次々と秘伝、奥伝を授けてくださったその学びのスタイルが、
気功の学校に脈々と受け継がれています。

自然を師とすること、つまり「ありのままの自然」を学び、
伝えるのはとても難しいことですが、
全てを明け渡してしまったように徹底してリラックスすると、
はじめて本当の学びが生まれ、大切なものがすーっと伝わっていきます。
だから新学期が始まったら、また、原点のゼロに還る。
担任の私も、再受講生も、そして新入生も、
今まで学んで来たことを一度全て手放して、
まっ白なキャンバスに向き合うように
2017年の気功の学校が進んでいくことでしょう。

「気功の学校」での学びは、
そうして何度も何度も白紙に戻っては
フレッシュな気持で積み上げて来たものですので、
内容はとてもシンプルで一番骨格になる技法が精選されています。

劉漢文先生の禅密功と、野口晴哉先生の整体はとても相性が良く、
その両方のエッセンスが同時に学べることも大きな特徴かもしれません。
「気功」は、体の自然が目覚めていくためのやさしい方法の全てですから、
こうして日中の技術が融合していくだけではなく、
心理療法やアレクサンダーテクニックなど
西欧で発展したものも自然に溶け込んでいて、
それと気づかずに学んでいることもたくさんあるだろうと思います。

循環する学び
前期3ヶ月は、「ゆるむ→感じる→自然に動く」という
気功の基本プロセスを体得することに主眼があります。

ふりこ・円・波、それぞれの自然な動き。
立つ・座る・眠る、それぞれの自然の姿勢。
最もシンプルで確実な心身の調整法として、
操体法と脱力体操。心願成就法。
そして「てあて」と活元運動が自然にできるところまで
一気に学習が進みます。
また、1〜3月は身体が大きく変化する季節で、体質改善の好機です。
再受講して次の前期を終える頃に、
一年学んで来たことの大きな収穫に気づく方も多いようです。

後期9ヶ月は、季節の変化に応じて、心身を整えていきます。
力ずくで体を変えようとすると、無理も出て、体からの反発もあり、
なかなか思うような方向へ進まなくなりますが、
自然の変化の流れを知ると、
自分の力で自分を整えることがとてもやさしくなります。
そして、自分を整える力がつけば、
既に「教える」力が養われています。
何かの技術や知識を学んで、それを完全に習得したとしても、
自らが整わないのであれば相手に対しても役に立つことは無いでしょう。

「整う」というのは、体が自由で、心が自在で、
なんとなくいつもニコニコしていて、強張りもとらわれもない、
とても気持のよいニュートラルな状態にさっと戻れるということ。
そのためには本来、特別な練習も秀でた能力も必要ありません。
そうした力は誰もが元々持っている。
ただ、たくさんの慣習や決まり事、知識や経験の蓄積、
ふくらみすぎた不安や恐れ、
しっかり固まってしまった頭の中の観念などが、
心身の自由を縛り、本来の働きを阻害していることがあるのです。
だからこそ、本を読んで「体の自然の働き」を知るだけでも
大きく体が変わり、生活まで一変したりする。

自然の働きを高め、
自然を阻害しているものをできるだけ少なくするのが
私たちが向かっている方向です。
そのために最低限「新しい学びが新しい障壁とならないように」
という思いはずっとあり、
だからこそ「ローインパクト」ということを大切にし、
教える立場にある私自身が、
毎年何も無いまっさらな地平へと立ち返っていくのです。

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