気功のひろば
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2015.07.02

気功生活 Vol.89

気功生活vol.89

平和

澄み渡る心、
心地よい体、
満ちている生活、
不断に守り続ける。

 

【目次】

平和ということ 天野泰司
特集 肩の荷がおりる総会 報告
京都御苑気功散歩
やさしい気功を伝えるために
The Book of Life 6/206/30
特集 いのちの気功
連載・門ちゃん日記 森田久美&森田徹
講座レポート 〜季節の気功
夏の気功
墨と水 吉田純子
けいじばん

 

平和ということ

天野泰司

最先端を走っている
戦後70年、そして安全保障関連法案が国会で審議中。
今、戦争と平和について深く考えるよい機会だ思います。

日本の憲法は、世界に誇れる先進的で素晴らしいものです。
有名な第九条の条文には
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。」とあります。

「国際紛争を解決する手段として、
戦争をするなんて、私たちは未来永劫しない」。
補足すれば「全世界の真の平和と幸福を希求する私たちには、
もっと賢い別のやりかたと役割がある」ということになるでしょう。
何千年も繰り返されてきた、力に対して力で立ち向かう方法を
180度転換していることが新しいのです。

国家間の争いという大きなレベルではなく、
身近に引きつけてみると、カッとなって怒鳴ったり、つい手が出てしまったり、
こうしたけんかも「武力による威嚇又は行使」です。
でもたいてい後で後悔しますね。あの時怒らなければよかったと。

なぜ、つい武力的なものを使ってしまうのか。
その大部分は過剰なエネルギーを分散したいためなので、
理由はたわいないことだったりします。
抑圧された何かがあると、ちょっと気に障ることがあると爆発したくなる。
ですから、もしカッとなって怒る習慣があるのなら、
背骨の動きをしなやかにして、身体のエネルギーの流れが潤滑になるようにしていくと、
笑ったり、踊ったり、何かに真剣に打ち込んだり、人のために働いたりといった、
自然なエネルギー分散が行われるようになり、
無意味な武力行使はどんどん減っていくでしょう。

もう一つは、自分の弱さをカバーするためです。
弱い者ほど先に手を出して、腕力でなんとかしようとします。
強い人ほど争わないものですが、特に精神的な強さが養われてくると、
暴力的な手段を使うことはほとんど皆無になります。
大局を見据えて腰を据えていられるから、
嫌なこと不安なことがあっても、すぐに力に頼る必要がないのです。
今の政権担当者が考えていることは残念ながらこの逆。
「強くならないといけない」という稚拙で単純な思い込み、あるいは野望です。
私たちは、腕力だけで解決することなどないことはみんな知っていて、
強い精神性を持って、武力を前提としない対話や奉仕という手段で、
世界全体の平和に大きく貢献してきたし、これからもしていくことでしょう。

例えば、社会学者の大澤真幸さんは、自衛隊の発展的運用法として、
どこの国にも肩入れしない中立的な立場で、
主に紛争地域での人道的な援助を行う「(仮称)援助隊X」の提案をされています。
ある国の後方支援をすれば敵対国の標的となりますが、
中立的な立場を保てば狙われることはないでしょう。
そして、戦禍の最中に生活を守る部隊が日本からやってくるとなれば、
どの国の人々からも感謝されるでしょう。

もちろん支援は戦争中に限りません。
日本が持っている、医療、建築、鉄道などの優れた技術や経験は、
どの国へ持っていっても大きく役立つもの。
あらゆる方面に向けて、平和的に貢献することができます。

相手を思いやり、与えられた仕事に誠心誠意取り組む。
日本では当り前に見かけられることが、まだ世界の常識ではありません。
それだけ日本の社会は流れがよく、豊かで、本質的な強さを持っています。
この豊かさが世界に広がっていくことをイメージして、
生活の豊かさをさらにブラッシュアップしていきたいものです。

無限の豊かさ
いやなこと辛いことをできるだけ減らし、豊かさを培っていくところに
真の平和活動があります。
心が穏やかで、体は気持よく、生活が満ち足りている時に、
武力を使うことはありません。

気功は健康法である以前に、からだの自然と向き合い、
心身を心地よくして幸せを培っていくものです。
その土台は、第一にからだの自然が全開になっている「誕生前後の時期」にあり、
次いで心身ともに成長していく子どもの時期にあり、
そして、精神的な成長を続ける大人の中にあります。

罰や暴力を受け、自由を奪われて来た子どもは、
人に対しても同じことをしがちです。
愛を受けて大切にされて来た子どもは、
周りにも愛をふりまきます。
それはとても自然で本能的なもの。
私たちの中には生まれる以前から無限の豊かさがあります。
その自然の見事さに気づき、乱さないよう、壊さないよう大切にしていく。
子育ては最も重要な社会貢献活動であると同時に、最も本質的な平和活動です。

気功や日々の生活を通じて自らの豊かさに気づき、
その豊かさを世代を超えて膨らませていきましょう。

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