気功のひろば
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2020.08.19

Montly live7月 心肺の気功 〜水害の朝に

7月の配信、お話を起こしてみました。大雨の上がった、朝でした。
動いている途中のお話は、動画のほうでごらんくださいね。

2020/7/8 天野泰司
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日本は地震も火山も多く、古くから荒ぶる自然と共存してきた。
おそれを持ち、敬いながら恵みを戴いて生きてきた。
災害に遭われた方、辛いけれど自分の手で心身を少しでも楽にしていただけたら。
このレッスンを使ってほしい。被災した方があれば伝えて欲しい。
必要な方々に届くのが私たちの願い。

[労宮と肘]
気が上がると、心臓がドキドキする。
心配するしかなく疲れてしまう時は、手のひらの真ん中、労宮を。
親指をあてて、固まりがあれば、じーっと追いかけていく、
あがってしまう時にも。だんだんにほどけていく。
心臓とつながる鎮心の急処、整体では上肢一番。

緊急時は時に、「自分の体の中の薬」をできるだけ使うように。
内からの働きを高める作用を引き出すことは可能。
左肘を手で包んで温めても良い。

[呼吸の能力を上げる]
今コロナが蔓延。感染するしないに関わらず、呼吸器を強くしていくのにいい季節。
気温が上がり、体も活発になっていく頃。
呼吸を通じて酸素を取り入れないと、栄養は吸収できない。
しばらく食べなくても生きていけるが、呼吸を止めることは不可能。
エネルギーを作ることに呼吸は直結、その量がわずかに増えるだけで体は元気になる。
生活にゆとりができ、豊かになる。わずかなゆとりは大切。
体は使った分だけ能力が上がる。呼吸の能力を使っていくと、呼吸にゆとりができる。
おなかも、頭も、使っては休める。ひきしまったら、ゆるめる。
この時期は呼吸器は自然に活発になるので、上手に休めることが大事。

[実習・胸を広げる〜肩の荷がおりる気功本日ver.]
やりにくさや凝りに気づいたら、そんな自分をほめてあげる。
自分を責めないこと。意識が入らないほど、体は自然に変化する。
必要な反応が起こる。もっと軽い気持ちで自分をみていく。

外に出たり動けないとき、力を抜いて動くことを思い出して。
他の人の目があっても、腕をなでるようなことはできる。

ここ数年だんだん気温が上がっていたので、今年は少し過ごしやすい。
人は適応する、能力は高まっていくもの。
なので、頭に溜まったもの、体の疲れをほどいていく時間が大切。
どうしても辛いほうにスポットが当たりやすいが、
「心地良さ、自分を大切にすること、希望」に、一日15分でよいので全面的に光をあてて。
それが気功の大事なところ。

[実習・心がおちつく やさしい気功]
自他はひとつ。
不安ではなくて、あたたかい心を大変な人たちに送る。

[足裏をなでる]
足裏は腎臓、アキレス腱は呼吸器とつながりがあるので、
足裏をなでることで眠りやすくなる。緊急時や風邪の初期の心得。
そうすると、自分が動きやすくなり、ほがらかに全体を見ていけるようになる。

支援する側もされる側も、心の状態を良いように保つことが大切。
そのために、自分を心地よくするすべをもつ。

「おちつく気功」は、ぜひこの期間続けて。
習慣化したものは即座に役立つ。
しばらく休んでも、必要な時に体が思わずやってしまう。
感受性、心理状態が変わて自然に働き出す。(純)

↓動画はこちら! 改めて、見ながらじっくり。

2020.08.11

禅密web5月 〜真言と由来と

昨日8/10、「禅密web」、6-8月基礎編の配信が終わりました。
61人のとても良いクラスになりました。

*次期10-12月に向けて、見たい方がいらっしゃいましたら、こちらからお申し込みください。
3回分のURLをお伝えします。学費、支払方法は同様です。
10/10までに、繰り返し深めてください。

きょうは5月配信のノートを簡単にまとめてみますね。
きのうご覧になった方の、補完にもなるかと思います。

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【講座ノート】2020/5/17  天野泰司

*禅密功の由来

禅密気功は、1998-2004年にかけて
創始者の劉漢文先生に直接学んだ。
気功協会の設立、2000年と重なり、ひとつの柱になっている。
インドからスリランカ経由で一子相伝で伝えられた古い密教から、
劉漢文先生がみなに役立つものを「中原密功」として公開。
中原はいまの西安。
李子楠先生の案で「禅密気功」という名に、一斉を風靡した。

開かれた密教。
劉先生が偉いのでなく、「自然が先生」という考え方は
気功協会の土台になっている。
禅密は、体で自然を体験していくことができる。
コロナ禍で思いがけず配信・公開に、
生活や精神活動の根底にあるものが、地から、
地蔵が湧き上がってくるように起こってくる。そうしたタイミング。
災い転じて福となる、体内で転換していくのが密教。

「諸漏漏尽」、災いは尽きることがない。
困難を減らすことも実際的に必要だし、
心の土台を切り替えることも大切。

*三点一線と真言

「三点一線」がいちばん大事。
エネルギーの象徴としての「蛇」がゆれている。背骨が生きている。
背骨を通じて「天根〜地根」、その間でゆれている。
限りない垂直軸が、自ずと揺れ出す。

禅密功の真言はシンプル。一音だけも多くある。
原始的な密教の流れをくんでいる。
音程は特になく、のどの「天梯」をふるわせる振動そのものを感じていく。
劉先生に習った音を忠実にやっている。
音が聞こえるのが「明呪」、振動だけになると「暗呪」。
「尋音〜知音〜真言」、初めは真似て探し、練習を重ねて音を知り、
真言となってゆく。

仙椎から骨盤の大きな性のエネルギー、
人として、生命として連鎖しているエネルギー。
その大きさゆえに苦しむ。
用い方を変えると、楽しい、素晴らしい方向に。
身・口・意(手印・真言・イメージ)を使っていく。「三密相応」。

[実習・のび・眠の法(後頭部にてあてし、足をくんで休む)]

*動静楽寿

劉漢文先生は、誰でも簡単にできる小さな功法を
「動静楽寿」として、晩年に普及。
「動く・休む・笑う→健康で長寿」=「動静楽寿」。
眠の法もそのひとつ。

戦後の物資のないなか、気功ができた。それもなくなって、もっと分解。
私たちもその流れをくんでいる。
例えば、あくび、笑いは天然の呼吸法。
生きている、そのものを笑いで貫いていく。
ほがらかであること。最初に、そういう世界に入っていこうとする心持ちが大切。

深めていくことと、日常化・簡素化が気功協会の両輪。
学ぶ意識を持って集まる人たちと、無限に広げていく2つの方向性。

[実習・基本功(前後・左右・ねじり・自由)]
[実習・真言]

体を越えてひろがってゆき、
意識を持ったまま天然に立ち返っていく。
(純)

2020.07.31

能動的コロナ予防 〜7/24中之島から初配信

今回の大阪・中之島教室は、初めてzoom配信にトライ。
大きなトラブルもなく無事終えることができました。

2020/7/24 於:朝日カルチャー中之島 天野泰司
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*ウィルスとは

コロナでみな大変な思いをしていると思う。
今日はふさいだ心を晴らし、能動的に取り組む方法を。

ウィルスは、防ぎきれないもの。
確率論的に下げていくことをしているが、本来すべきことは、
自身の体の抵抗力・体力をつけ、不安を減らし
免疫を活性化させていくのが重要。
例えば、肺を元気になる方法を知っていると感染しても軽く済むし、
肺はウィルスを外に出す作用もあるので
肺が元気だと感染もしにくい。

 ウィルスは必要不可欠な存在。ヒトが進化する上で、
遺伝子を運び、組み替える役割をしていて、
私たちの遺伝子の半分はウィルスでできている。
ウィルスがなければ人類は存在しない。
赤ちゃんの皮膚を守ったりもしていて、現在の過剰な消毒、
ウィルスを無くそうとしたり人と接触しないようにという対策は
一時的には有効だが、何十年も続けていくとは考えにくい。
それでは、体が丈夫になる機会をそがれてしまう。
風邪も引けず必要な時に体の症状が出てこないと、
抵抗力や免疫力を培うことができない。
新しいウィルスが発生した時にも感染しやすく、
ダメージが大きくなる可能性がある。
防衛が長く続いた場合に心配される状況。

「もしかしてコロナウィルスは、
役に立とうとして今発生しているのかもしれない」。
その、可能性はある。ほんのわずかでも、
どこかでそう思っていると、仮に発症した後に心の持ち方が変わる。
例えば「今、呼吸器が活発になって免疫力を高める準備が必要なのかもしれない」と考える、
そうするとただダメージを受けて辛い思いをするより、
免疫力が大きく働く。

伊丹仁朗先生が、がんに対して
「笑いで免疫が活性化する」研究をされて、かなりの有意差が出ている。
「病気を経過することで、今までより丈夫で
活発に過ごせる体を作っていこう」という認識があると、結果が全く違う。納得できなくとも、そういう考え方がある、と知っておくだけでよい。
明るい心持ちや、「病気によって体の活性化をすすめていく」発想を持っていると、経過が全然違う。

風邪を自然に経過すると、左右バランスが整う。症状を止めない。
熱のピークを越えると体が活性化して免疫力が上がり、細菌を全力で殺す。
咳、鼻水、下痢で不要物を排出し、すっきりした感覚になる。
『風邪の効用』(野口晴哉・ちくま文庫)という本がある。
いま必要な人がその風邪を引く。
体力が落ちている方は気をつけてほしいが、
症状を乗り越えた後にスッキリした状態が手に入るかもしれない、と空想して。
元気になるきっかけが病気であることも多い。
全力を発揮して体は元気になる。

*不安をほどく

人は大脳が発達しているのが特徴。
マイナスに働くと、空想がいやな感じを生み、胸が苦しくなったりする。
まず頭をからっぽに。頭から伝わる指令系統をほどく。
まず首から、不安をほどいていこう。

[実習・首のサイドライン「胸鎖乳突筋」~肩のストン~鎖骨・胸腺・みぞおちのてあて]

あごをゆるめて、首を上に。脳活点、首の蝶番の位置から胸鎖乳突筋を手のひらでおおう。「がんばる、努力」の反対の方向へ。 ゆっくり。 
胸腺は免疫の教育センター。活性化させておくのが大切。
みぞおちは、呼吸にそってすこし押し込む。
気持のいい息が入ってきて、不安が抜ける。
しんどい時も、 上半身がゆるむと心がゆるむ。
みぞおちのやわらかさ、下腹の充実した勢いが健康の尺度、「上虚下実 」と呼ぶ。
何かあったときは、おなかをみて、緊張したり固いところに手をあてて。

[実習・立って動く]
 骨盤の上端「呼吸活点」に親指をあてて、腰を気持ちよく動かすと肺が元気に。
気持ちよさを見つけて、素直に痛みから離れる。
胸を開いて、指をひろげる。のび。
 この一連の動きを1週間つづけてみよう。そうすると、体は素直にいい状態へチューニングされていく。

心がおちつく やさしい気功
 3.11震災後「おちつく気功」をつくった。
まず心を落ち着けていくことが、今回のコロナでも大切。
ひとつのことを習慣化するのは案外難しいが、からだと向き合う時間をとることが何より。
「 うん、大丈夫 」と最後につぶやくのは、無意識に働きつづける。体の栄養。

[実習・化膿活点〜肝心のてあて]
免疫のポイント「化膿活点」、血液をきれいにする。がんなどにも。
少し上向きに押して、離した時に手の力が抜けるように。
肝臓は、呼吸器を丈夫にする元。右の肋骨の下を押し込んで、ふっとゆるめる。
心臓・肝臓を同時にてあて。肝臓できれいになった血液が全身に循環していく。
肝臓は温めると活性化、夏が過ごしやすくなる。

*困難は自分で乗り越える

病には、主体的に取り組んでいくことが基本。
薬や、誰かが治してくれるものではない。コロナは時に。
だからこそこうして免疫を高め、体力を上げていくこと。
自分でできることを続けて。それが、これから生きていく上でも、困難を乗り越えていく大切な力になる。
そういう意味でコロナも役に立っていると言える。
病気を活用していこうという心持ちがあれば、自然に体が働いていく。

呼吸は、自然呼吸。気持ちのいいゆっくりした息。
眠りが深いと、疲れや不安が抜ける。
自ずと深い息ができるように体を整えていくのがよい。

[実習・立って動く ~ゆする・腕のストン・ふりこ]

私たちは、「肩の荷」を知らず知らずに背負いこんでいる。
荷物はさっと下ろす、また背負えばいいのだから。

体を動かすと、心も動いてくる。不安はあっていい、
なくそうとしなくていい。
まず楽に動いて、手放して。
腕の力を抜けばいい。

まず自分が元気になって。それが周りに広がっていく。
(純)

2020.06.29

皮膚をきれいに〜6/13京都

毎月第二日曜、「季節の気功」講座再開。お話から。
*次回 →7/12「ふみつき・エコロジカルに動く

2020/6/13 於:朝日カルチャー京都 天野泰司
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*根本的な生命力upには

ウィルスがなければ、種が多様化して、進化が早く進むこともなかった。
遺伝子には使っているものと、使っていないものがあり
必要な時に発現する。
コロナは、良いものか悪者か、まだわからない。

ヒトの赤ちゃんは、保護の必要な状態で生まれる。
動物と違って、すぐに歩いたり、食べものを自分で取って食べたりもできない。
なので整体では、「13ヶ月は病気にならないように」と気をつけ、
1才過ぎたら、そのあたりのものもなめたり、けがをしたり病気をし、
よくないものも取り入れながら、自分で体力をつけ、内臓を活発にしていく。

例えば水疱瘡にかかって自分の力で経過すると、腎臓が元気になり
はきはきして表裏がない子になる。
腎臓の機能が弱いと、迷ったり、状況を受け止めきれず二枚舌のようになったり、
腰が座らない。
そうしたことは性格ではなく、体が及ぼす心理的な作用。

コロナは、肺炎になりやすい。自力で越えると呼吸器が強くなると言える。
はしかも同じ呼吸器系の病気で、スムーズに経過すると肝臓が元気になる。

私たちは受精卵が分裂・成長していく過程で、皮ふが内側に入り込んで、
腸管や胃、肺ができていく。
肺も内側の皮膚といえる。

なので肝臓が元気になると、腸管から不要物がよく排泄され、
皮ふがきれいになり、呼吸が楽になる。
そうして消化排泄がよく、呼吸が深くなると、眠りも深くなり
病気や症状が乗り越えやすくなる。

これからは、「根本的な生命力」を高めていくことが大事。
それには、肝臓が大切。

*肝臓を元気に

肝臓は原初的な臓器。再生能力も高い。
体内で化学処理をしていく。酵素が多く存在し、
栄養、グリコーゲンを貯め、
窒素化合物など毒性の強いものを分解し、毒のない状態で排泄する。

酵素(=蛋白質)の関与した化学反応なので、高温すぎない温度が必要。
体温プラスαが適正温度、
なので、肝臓は単純に、あたためると元気になる。

初夏は肝臓の季節、少し減食気味にして肝臓の負担を減らすのもよい。
おしっこの匂いが強いのは食べ過ぎ。
梅雨は肌が荒れやすい。肝臓をケアすると、皮膚もきれいになる。

[実習・肝臓を押し込む〜てあて]
肝臓は右の肋骨の下端周辺。
下端にそって、両方の中指でゆっくり押しながら、違和感のある処を探す。
ここ、というところを見つけたら、息を吐きながら軽く押し込み、ふっと戻す。
その場所に手あて。

心がおちつく やさしい気功
体表面と神経系は深いつながりがあるので、
皮膚をゆっくりなでることで、頭が深くリラックスする。
アクセルとブレーキのバランスがととのう。
血が全身に一巡したら、変わってしまう。

*腎臓を元気に

梅雨は、湿度・気温が高く、汗が出るが乾かない。

化学物質の大半は汗から排出される。
出せなかった汗は、腸管から出る。
「汗が出せないことを補う下痢」ということが起こる。

また、汗がかけないと、腎臓に負担がかかり、腰が痛くなる。
汗がかけない人は、ももの裏側をよく伸ばしたり、
手足の指を伸ばしたり、ゆっくりひっぱって回すとよい。

コロナで動きたいのに動けない、マスクがしたくないのにしないとならない、
そうして「本当はこうしたい」気持ちが大きくなる。
マスクははずした時に口を大きく動かすと、
尾骨や骨盤が変化して気持ちもスッキリする。

[実習・腎臓のてあて・側腹とわきをつまむ・指を一本ずつていねいに回す]
集中感を持続する。「今変わる」つもりで。
講座、ライブも一緒に、そうした感覚で。

[実習・大股で歩く・側腹を伸ばす・手を広げて「パッ!」]
信号待ちの間に少し上を向くようにして腰を伸ばし、
肩を後ろに落として手を伸ばす。
青になったら、大股でガシガシ歩くとスッキリ!
(純)

2020.06.26

梅雨の体〜制限の中で ・気功の学校6月

年間コース「気功の学校」。
4月は午前だけ山科の和室で開講、午後は桜の疎水を散歩して一燈園へ
5月は休館、
そして6月、再開の喜びの中で。

2020/6/7 於:アスニー山科 天野泰司
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*体が望むことを

どんな状況下でも、私の中の自然を尊重する。
そうすることで、自分の力を発揮できる。

頭は情報にそって働くが、土台は体のなかの自然。

制限がある中で何とかやっていくのが一般的だが、
制限がある中でも全力を発揮するのが、気功をしていく意味。
集まることの意義、喜び。共通の体験の大切さ。

ここ1週間ほど、「首がまわらない・背中の違和感・腰がいたい」という声が多い。
「ステイホーム」といえば聞こえはよいが、
活発に動きたい時期に動けないので、エネルギーが余ってくる。

「進んで、責任をもって人のためになることをする」。
そのことで最も大きく余剰エネルギーを分散・昇華していく。
何かのために動いていくことは、自分のためにもよい。
自分に集中していると、そのような動き方がしにくく
エネルギーが余ることで体を壊しやすい。

有償・無償は関係がない、「お金のために働く」ことと「したい仕事」が重なることは稀。
「したいー動くー収入が発生する」のが理想。
西田天香さんは、「頼まれたことに全て喜んで出かける、巡り合った全てを進んで行う」スタンスをとった。
あらゆるものに全身全霊で取り込み、何も頂かない。

私たちは、「体が望むこと、そうしたいと思っていること」を中心にしよう。
体の「自然のフィルター」が選ぶものに添って動く。
体のシグナルを感じながら、頭の回路を変えてゆく。

習慣からくる思考の影響に、気づいていないことが多い。
感覚だ、と思うなかに過去の累積がある。
ものをありのままに見て、ゼロを体験する。

[実習・ゆするー活元運動ーみぞおちを抑えつつ息を吐くー背骨に気を通す]

*梅雨の体

梅雨のポイントは、呼吸器を開く・肝臓・腎臓・汗。
ももの裏側の伸び、胸・指の広がり。

湿度が高い〜発汗できない〜呼吸器が開きにくい、ことに加えてステイホームで、
腎臓に負担がかかり、腰に違和感が生じ、体の左右にねじれが生じ、首に違和感が出る。
首がまわらない、というのは借金でよく言われること。

一度かいた汗を冷やすと、体がちぢむ。ももの後ろ側、足全体の後ろ側を伸ばすと
引っ込んでしまった汗がまた出てくる。

汗には「心理的な汗」、冷や汗といったものもあって、毒性が強い。
借金でなくても、「こうなったらどうしよう」といった不安で首がまわらなくなる。
不安を持ち続けるのは損、不安がなくなれば生きていくことが楽。

首の緊張が胸・みぞおち・肩甲骨の緊張につながる。

[実習・脇腹(側腹)をつまむ]左右をくらべ、硬い方を。
[首の調整]頚椎2の左右、頭を上に向けて蝶番になっているあたりに
親指をあてて、上を向いてポカンとする。
[心がおちつく やさしい気功]
[うつぶせで腎臓のてあて]横になって、両方の足裏を合わせながら。
[おへその座布団行気]横になって、座布団をおなかにおいて、両手のひらでおへそに手をあてる。

*縛り合わない

体への負荷をこの時期にほどくとよい。
お互いを縛り合わない体制を。

制限がある時は、
1.枠の中にいる必要がある時
それはそれとして、枠を楽しむ、活用する。
楽しめない時は枠から逃げる。
2.枠も、何の制限もない状態をつくる。
気功などしながら、体が求める完全な自由を実現する。

[立って、大きなふりこ]

「動く・休む」のリズムで。
動く時は、「ゆすり・大きなふりこ」「活元運動」などで発散感のあるところまでもっていく。好きなふりこでのびやかに。
休むときは、「おへその座布団行気」。中心に気が集まるのでオススメ。

汗をふきとること。
首などの汗がベタベタしている時は、さっと熱い湯に入ったり、お湯でしぼったタオルをあてて汗を出し切る。

[指を開く]
[ももの裏側をのばす]横になって、かかとに手ぬぐいをかけ、足を上げていくと
足の後ろ側全体が伸びて気持ちがいい。
もしくは、あおむけになって丸くなり、両腕で足を抱えてちぢむ。
ぽーんと話して、かかとが放物線を描くようにして落下。

(純)

2020.04.05

一燈園へ

「気功の学校」、今日は山科疎水の散歩へ。

諸羽神社から桜の中を歩き、ちょうど
娘たちが小中高と通っていた一燈園に至り、
快く見学の許可をいただき、みなさんをお連れすることができました。

維摩堂でお参り、
西田天香さんご夫婦にもご挨拶。

桜が咲き、うぐいすが鳴いています。

懐かしい校庭。

市街一望。
何も考えず、「ただ見る」ことを短時間。

王雲宮の周りで、歩きながら、ふと目を留めたものに集中。
ただ見る、集中が途切れたら次のものに移り、また「ただ見る」。
うぐいすの声と共に。

奥に、山の中のグランドが見えます。
子どもたちが小中高と全力で取り組んだ、運動会が蘇り感無量。
天野に後で聞くと、感情が起こってくるのはかまわない、とのこと。

維摩堂を見下ろす。
いつも、箒目が美しい白砂に何か一直線に走った跡。
動物が山に駆け上がっていったのかな。

美しく整えられたお庭に、夕方の陽があたります。
保護者は、入学式と卒業式にだけ通る道。万感の思いで。

疎水へ戻ると、お船が通った後で
水面が大きく揺らいでいました。

何の思いもなく、ただ見る、ことで
目を閉じると、桜や木々、空がクリアに蘇り
いつまでも出会った自然と共にあるような、
透明で深い散歩になりました。
(純)

2019.12.20

無一物中無尽蔵 〜高野山にて

2019.11.16-17、「禅密高野山合宿」。

西田天香さんの「無一物中無尽蔵」をキーワードに、
弘法大師空海「秘蔵宝鑰」、
劉漢文・禅密功から「陰陽合気法・人部」。
時代の違う3人の共通点に光をあてて、
体を動かすことと、瞑想を中心に深まりある合宿となりました。
最初の講義から、まとめます。(純)

於: 高野山普賢院 話: 天野泰司
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私たちが今学んでいることが、弘法大師やそれ以前のお釈迦さまたちが
やろうとしたこととクロスオーバーしている。
空海は、それまでの仏教のように段階的・間接的でなく、直接本質(秘密の蔵)に入ってしまう、
そのために高野山という場所を選んだ。
私たちはもう秘密の蔵の中にいる。観念してください(笑)。
人は幸せを求めて生きている。それに近づいていく合宿に。

*西田天香さん語録から

・無一物中無尽蔵、有花有月有楼台。
・物そのものは本来誰のものでもない すべて全体のものである
・拝むと云うのは自分をなくするのです。
 自分をなくすると全体が自分である。

・本来自分の物、そんなものがあるはずがないのです。
 無一物にいて祈りに祈る生活が、この上もない無尽蔵の宝を持つ、まことに如意宝珠であります。
・無一物と言うと無尽蔵が隠れ、無尽蔵と言うと無一物が隠れてしまいますが、
 これは見方によって何とでもなることなので、正しく言えば、
 無一物がそのまま無尽蔵であり、無尽蔵がそのまま無一物なのであります。

・自分というものに執われないと全体が一つである、ということがよく分かる。
 この自分というのは、迷いの世界である。
 「元来は一つである」ということを知ったとき、我々の本国を知ったことになる。
・拝んでいないとき、ほんとうに拝んでいることがあるのです。
 力んだり騒ぎ立てたりして拝むことは、仏には通じぬ。静かに自分が仏と一つになるように拝むのです。

・われらは〇の当体に帰ることによって、生死を超えることができる。
・今一番世界で要求していますものは、落ち付いた生活でありましょう。
 それは、思い切って複雑な物を捨てることによってでないとあらわれてまいりませぬ。
 あらゆる点において人類全体が楽しめること、落ち着けること、
 そうしてまた闘争しないような平和な世界を生み出すには、
 極度に単純な、ありのままに帰らなければならぬ。
 そうしたものが一番値打のあるものです。また美しい尊いものです。

天香さんの生き方そのものが、この思想を表す。
何も持たない。所有を完全に捨て、それでいて周囲が助けてくれる。
共鳴した人が集まって山科に一燈園という場ができたが、場も預り物。
年末になると全部置いて路頭に帰り、呼びにきてくれる人があると戻る。
何も持たないことが、全ての力を自分の中に持つことと同じになる。
それを、金銭や物が動くこの世界でやってみせた稀な実践。

今ある宗教は一方でお金を稼ぎ、また教えていく両輪だが
そもそもは、お金も、教えも誰のものでもない。
その原点に還ると執着を捨てやすくなる。
「私」が執着の源。

「陰陽合気法・人部」の瞑想も同じで、
自分が色濃くある状態では瞑想はうまくいきにくい。
自分というものをなくしても大丈夫なんだ、と最初に知っておくと
瞑想がはかどる。秘密の蔵に直接入る準備。
色んなものを持ちながらでは遠回りになる。

*空海「秘蔵宝鑰」

「秘蔵宝鑰」は空海の主な著書のひとつ。
ちくま学芸文庫「空海コレクション1」がわかりやすい。

序が有名、文章が詩的で美しい。
・・牛頭 草をなめて病者を悲しみ
 断し車をあやつって迷方をあわれむ
 三界の狂人は狂せることを知らず
 四生の盲者は盲なることをしらず
 生まれ生まれ生まれ生まれ 生の始めに暗く
 死に死に死に死んで 死の終わりに冥し

「生死、輪廻を巡って闇の中をさまよっていることを皆気付かない。
私は教えてくれる師があった、迷いから抜け出してください」ということを言っている。
空海は、すべてをかけてそれをやろうとした。

実際のやりかたの書かれている部分。
「十住心論」の10番目に、
空海が唐の恵果阿闍梨からいただいてきた密教について書いている。

・・凡ゆ伽観行を修習する人は当に須く具に
三密の行を修して五相成身の義を証悟すべし。
いうところの三密とは、一に身密とは契印を結んで
聖衆を召請するが如き、これなり。

二には語密とは密かに真言を誦して文句をして
了了分明ならしめて誤謬なきが如きなり。
三には意密とはゆ伽に住して白浄月の円満に相応し、
菩提心を観ずるが如きなり。
次に五相成身を明かさば、一にはこれ通達心、
二にはこれ成菩提心、三にはこれ金剛心、
四にはこれ金剛身、五にはこれ無上菩提を証して
金剛堅固の身を獲るなり。然れどもこの五相、
具に備うれば、方に本尊の身と成る。
その円明はすなわち普賢の身なり。
またこれ普賢の心なり。十方の諸仏とこれ同じ。
またすなわち三世の修行、証に前後あれども、
達悟に及び已んぬれば去来今なし。
凡人の心は合蓮華の如く、仏心は満月の如し。
この観、もし成ずれば、十方国土のもしは浄、もしは穢、
六道の含識、三乗の行位、及び三世の国土の成壊、
衆生の業の差別、菩薩の因地の行相、三世の諸仏、
ことごとく中に於て現じ、本尊の身を証して
普賢の一切の行願を満足す。
故に『大毘盧遮那経』にいわく、「かくの如く真実心は
故仏の宣説したもうところなり。」と。・・・

具体的なやりかたのエッセンス。
月輪を観想する阿字観の後半、光の瞑想。
三密相応(身=手印(体を使う)、口=真言、意=イメージ、仏の光と一体になる)は
「陰陽合気法・人部」の瞑想ととても近く、おそらく源流が同じではないか。

空海は唐の時代、西安で法を授かって戻ってきた。
日本からゆく時は学生僧、帰ってくる時には膨大な教えと共に「虚往実帰」。
行く前の修行で直接感じるものがあって、行くとそれが体系だって詳しく書かれたものがあり、
そのまま全部受け取ることができたのではないか。

阿字観の「あ」は、存在の否定、ない・空という意味。

・・(本文より)本来金剛薩埵である私たち。日輪と月輪の観想によって照見した本来の心は、
静かで清らか、満月の光が虚空に満ちるようで、知覚や思慮を離れた真理の世界。
観想は悟りの知恵の実践、生きとし生けるものはすべて普賢菩薩の心を持っている。
満月の丸くて明るい形は悟りを求める心と似ている。・・

ここはちょうど普賢院。
「みんなの中にもともとある賢さは平で清らか、まん丸な白い光のようなもの」。
空海のいう、それを実際に禅密の瞑想でもやっていく。
禅密では「先天に戻る」「逆行の道」という。
今回「秘蔵宝鑰」を読んでみて、
禅密の瞑想は高野山の瞑想体系ととても近いことがよくわかった。
うまく伝わっていない実践の部分を、
私たちは幸い、よく学ぶことができている。

[実習・肩の荷がおりる気功 変形版]

*禅密と性

禅密は、性の働きをうまく使っていく。
今まで受け取ってきた性にまつわるタブー感、嫌な感じ、情報をクリアにすることが大切、
そうすると直接そのエネルギーを使えるようになる。

真言宗では理趣経をよく唱える。
最初の部分に、性の喜びは仏の境地、日常の出来事全ては仏の境地であると細かく書かれているが、
そうして、観念を塗り替えることが必要な時がある。
本来の純粋さを取り戻すことが大切。

生活すべてが仏の境地。例えば赤ちゃんの存在もそうだし、
野生の動物が狩をして他の動物を食べていることも、あっと思うが動物自身はそう考えていない。
残酷、と思うのは私たちのなかに残酷さがあるから。

これから使っていく性的な力は、手垢のつきやすいものだが
「これも仏の境地」と思っていただくとたやすく外せると思う。

禅密ではまず密処の感覚をつくっていく、体の中に火を灯していくことで動いていく。
それが光になったり、円相になったりするもの。
簡単なことがいちばんいいので、おちつく気功をやりながら禅密の感覚を織り交ぜていこう。

[実習・心がおちつく やさしい気功 禅密版]
肉中肉・密処の気感をもちながら手をなでる。
背骨を自然に動かしながら、顔をなでる。慧目が開く。(後略)

[実習・陰陽合気法・天地部]
劉漢文先生は単純明快、
「深刻に一生懸命やらないと気なんて動いてこないんじゃないか」というような思い込みを
見事に崩してくる。もともと天地と一体な訳だから、
わざわざ天地と一体になるために、一生懸命なのはおかしなこと。
あれこれ考えるのではなく、天然の只中に入っているような感じならok。
そうでないと、観念を崩していくことも必要になってくる。

(阿字観の図をさして)阿字を見て、このまるい光に一体化していく。
「あ」は空、そうだと思ったら違う。
般若心経にも二重否定がたくさん出てくるが、こうだと思っていることは怪しいと思って。
光と一体になっているような感覚がふっと出てきたら、いい瞑想になっている。

・・・一に身密とは契印を結んで聖衆を召請するが如き、これなり。
二には語密とは密かに真言を誦して文句をして
了了分明ならしめて誤謬なきが如きなり。
三には意密とはゆ伽に住して白浄月の円満に相応し、
菩提心を観ずるが如きなり。・・

禅密はシンプル、太陽なら太陽、月なら月、星なら星の光を観想してひとつになる。
宇宙との一体化すなわち仏になることを意味している。

ゆ伽は身体的な工夫をしていくこと。ひとつの教えのくくり。
ゆ伽密、無上ゆ伽密の段階があるが、禅密は無上ゆ伽密の直接体験の道しるべ。
意密がメインになる。

[実習・陰陽合気法・人部の前半]
(純)

2019.10.20

いのちの学校・はぐくむ

こどもを授かる可能性のある方、まとまった話を
天野から聞いておきたい方などを対象に、
「いのちの学校」を開講しました。

 気功協会には、ご家族のペア会員が18組、当日は5組のペアが。
私たちも含めて、6組プラス女性達で
生命を成り立たせる不思議な力、そのあたたかさ、
大きさに包まれる一日でした。
午前のお話から。次回は「更年期」11/4です。
(純)

 2019.9.16 於:アスニー山科 和室
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*体の感度を上げる

妊娠出産にはさまざまな情報があふれるが、技術以前に、
まず大切なことは「自然を取り戻す」=「体の感度を上げていく」こと。
感度が上がれば、不自然なことがあれば自然に調整されていく。
その上で、手に負えないことや、
その部分の自然が立ち遅れ、敏感になってほしい時には、気を集めていく。
普段の気功と何も変わらない。

体の中で、とくに性の働きと関係のあるポイントを知って、
一通り観察したり触れていくと、自然に気が集中して、
体がなんだか変わってきた、いい感じになってきたなと思う。
そうした、自然な変化が大事。
方法や技術は多くあるけれど、本来「しなければならない」ことは、ない。

*骨盤と性の力

「妊娠・出産」イコール「腰椎・骨盤」。
性の働きが潤滑で元気だと、生きている楽しみは大きい。

女性は骨盤の横幅が広く、動く範囲が大きい。
骨盤が豊かで張りがある、それは性の力が大きいということ。
毎月、生理という出産の予行演習があり、
骨盤が開いては閉じてゆく。
そのゆったりしたリズムが「女性的な気持ち良さ」、
持続力のある集中感。
男性は、強く収縮した後に大きくゆるむ気持ち良さ、と言える。

開いていって、自他の境がなくなる。
溶け込み、受容する。
ゆるみきったところから、閉じていってまとまる。
生理の時に、その気持ち良さを味わう。
痛みがあったり、辛さがあっても、そうしたことをふと意識してみるとよい。

骨盤のそりがあることが若さ、
骨盤の位置が落ちて、性の働きが鈍るのが老い。

*今ここにいない、誰かのために全力で

男女が一緒に生活していると、2人の体が映し鏡のようになる。
女性が妊娠すると、男性の体にも反映し、同じ兆候が表れる。
だから妊娠以前に、2人でこうして学び、体に落として、
互いに、そして自分で調整していくと、すごくいい子が生まれてくる。
多くペアで参加していただいて、「よくここまで来たな」と
今この機会をとても幸せに感じている。

新しいいのちを育んでいこう、という気持ちが今ここに充満している。
見守る立場の方も含めて、「いのちを大事にしていこう」という気持ちが大切。

「私の」子供、「私の」赤ちゃん、という意識を手放すと
「はぐくむ」感覚が生まれる。

実際に子どもがやってきた時も、その感覚は全くない。
もちろん、遺伝的要素はあり、似ていたりするが、
どこからか、私たちを選んで、見ず知らずの新しい魂はやってくる。

今ここにいない誰かのために、全力で生命を開花させる
サポートをするのが、夫婦というペア。
そのひとの個性・能力が一番発揮される状態にもっていく、
そのために、妊娠前の・妊娠中の体を整える。

女の子が生後13ヶ月、男の子が15ヶ月までがいちばん大切。
成長して、思春期を終えたらサポートも終えていく。
性の働きが盛んになり、完成する頃。

「いつか出会えるかもしれない、新しいいのちのために」体を準備する。
「新しい生命の座」、体を玉座のように。
緊張感を持って頑張るのではなく、とことん気持ち良くゆるめること。
生活に、生理時に、行為に、出産に、
体の底から気持ち良い、ゆるみと引き締まりを感じていく。
それは、気功をしたりお散歩をすることでも味わえる。

お互いに大切にし合って、新しい命ができてくる。一人では妊娠しない。
男性は、毎日が排卵日。体を整えることに大きな意味がある。
体が、その決意をするかどうか。

[実習・てあて〜頭部活点と妊娠活点]お互いに。
[実習・足のてあて]膝にてあて、上下に動かし、膝裏てあて。内股、足首、くるぶしをなでる。
[実習・足首まわし]足首をそれぞれまわしたい方向へゆっくりまわし、横になって、のび。
足=骨盤、違和感を抜くことが大事。

待つことが大切。
自ら育つ、大きくなる、学ぶ。すべてオートマチック。
打撲にだけ注意して、打つことがあればなるべく早くてあてする。

[実習・立ってうごく]体の底から気持ちよく。
気功をしたり、お散歩をしたり、骨盤の動く気持ち良さを培う。
生理も、出産も、気持ち良さがある。それを探す。
気持ち良さを培う=性の力を培うこと。

*生理のときは

生理の1日目、2日目、骨盤が開いていくのを足湯でサポートする。
3日目がいちばん開いて出血も多い。ちゃんと開くと、閉じやすい。
目の温湿布で、精神的な緊張を抜くとゆるみやすく、とてもほっとする。
4日目以降は、卵巣のてあてをし、次の排卵にそなえる。

気をつけることは打撲、とくに女性の腰から下。
手首の緊張。手首が狂うと腰椎が狂い、子宮の位置が変わる。
あたためるか、ふってゆるめる。

生理中、妊娠中に目の温湿布をするのもよい。
ほっとすると、骨盤がゆるんで開く。
妊娠とは、骨盤が開いていくこと。それを滞らせないようにする。

*妊娠は勘

妊娠初期、2ヶ月目くらいから骨盤が開いてきて、気持ちもほわん、としてくる。
スムーズに開いてこない時に、つわりが起きる。
骨盤が開いてくると、安心感が湧き、受容的になる。
初期の頃に、「自分のしたくないこと」をしない。
勘がよくなって、ピリピリした感じがする頃。
シビアに、「自分のしたいことをする」。

骨盤は、最後の4週で少しとじる。気持ちもすこし閉じた感じになり、
おなかが少し小さくなって、4週で生まれる。

[実習・耳下腺のてあて]ひとりで・お互いに。
てあては、互いの命に対する礼。
いのちを大切にするありかたにつながる、いのちをはぐくむ原点。

こどもを授かりにくいときは、体の準備が遅れている。
とりもどす第一が、耳下腺のてあて。
二番目は、胸腺のてあて。
行為の後で、甲状腺のてあてをするとよい。
子どもを迎え入れる感覚で、行為をしていくとよい。

妊娠は勘。体が勝手にそちらへ動いていってしまう。
排卵を体で感じるようにするのが、最高の誘導。

2019.10.18

心のリラックス〜9/8京都

毎月第二日曜、「季節の気功」9月のお話から。
*次回→11/10「冷えに強くなる」

2019/9/18 於:朝日カルチャー京都 天野泰司
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*秋をあじわう

季節の巡りが、変化を生む。
生きる中で様々なことに出会う。辛いこと、楽しいこと、
ずっと続くといいな、と思ったり
これが続くとどうしよう、と思ったりするけれど、
季節は、ピークを超えてはまた巡り、必ず動きがあって循環している。
暑さが過ぎると、また涼しくなることを体が事前に察知して準備している。
もし、今が「最悪!」であっても
冬なら春を思い、夏なら秋がくることを思う。

新春の頃、体は春を感じて動き始める。
生まれ直す感覚、体も立て直す時。
春に向けて骨盤が開き、体は毎年リセットされる。
例えば、赤ちゃんが生まれたら、家中にその新しい気配が充満し
男性もフルリセットを体験する。

春は勢いがあり、秋は落ち着きがある。
季節の巡りの中で、体は次の春に向けて準備してゆく。
秋を心地よく過ごすと、春が気持ちよく迎えられる。

秋は、冬に向けて体が引き締ろうとするが、引き締れない部分が出てくる。
左右差が生じて、腰のねじれや冷えにつながる。

症状が出てきたら、「その場でほどく」ことを繰り返しやっていく。
多少は気にしないでやっていくことが積み重なると、体が鈍ってくる。
小さな異常をその場でリセットし、切り替えていくことで、生きる楽しみが増えてゆく。
渦中にあると、気持ち良さに気づかない。
一年のなかで、いまが「秋の入り口」にあることを思い、
秋の気持ち良さを味わうように。

*軽くなる私

生まれて、死んでゆく、どちらも同じ輝き。
暖かさと真剣さを持って向き合う。
死に向かうときは、積み上げてきたものを下ろしてゆく。
四十九日という修行期間に、7日づつ7体の仏がついてくれて
さまざまなものを落とし、
そして1周忌はどの仏、3回忌はどの仏、と
解脱に向けて、あらゆる束縛を解いてゆくのが輪廻思想。

苦しみや辛いことに煩わされない世界があり、
そこへいくことができるかもしれない、
それを成し遂げたブッダという方がいて、
生きている間にも
そちらの方向へ向かえばいいんだな、という空想は、大きな力がある。

「悟り」は、特別なことではなくて、とらわれからふっとぬけた状態。
歩いていてふと気持ち良い瞬間があるように、日常の至る所に悟りがある。
昔の生活はシンプルで、生きていければいい、ような時代が続いた。
「妙好人」のように、市井の隅にある人がただ念仏を重ねるうちに
その言葉やありようが人を助け、後世に残る例もある。

毎日、何も考えずに繰り返しできるような状態を作るとよい。
気功はその一助になる。
シンプルなことを、何も考えずにたんたんとやっていく。
自分のなくなった感じ、軽くなる感覚。
自分で設定している「私」がほどけたとき、ほんとうの自分が現れてくる。
心が休まって、小さいレベルの悟りに出会っていく。

例えば「ふりこ」、単純な動作の繰り返しで、意識がほどけていく。
順番や、様々なことを忘れて、何もない集中した時が生まれる。

坐禅をしていて、様々なことが浮かんで集中しにくいものだが
何をしているかわからないくらいの感覚で座っている時には、
警策は通り過ぎていく。

辛い思いが浮き出してくる時がある。
昔の傷や、苦しかった体験など、
心の奥深くで、見えなかったものが顕在化する時が、変わる時。

漠然とした嫌な感じや、辛さと同時に、体になんとなく嫌な感じが生じてくる。
その時に体の違和感をなくす。
迎え入れ、気持ちよくなるように。

辛さを他人のせいにすると、すりかえが起こる。
少し楽になったような気がして、スッキリ感があっても
自分の苦しみは保存されてしまう。

辛さが出てきては、消えることを習慣づけていると、
辛いことを体が最初からよけて、受けないようになってくる。

[実習・頭部活点のてあて〜おちつく気功]
左右の、「鬼の角の生える場所」、耳の前を上がった処と、黒目を上がった交点。
骨の隙間で、手の止まるところに指先をあてる。
押すのではなく、ゆっくりと。

[実習・わき腹をつまむ・内股をなでる]
秋の、からだのねじれをとるポイント。ゆっくり、ていねいに。

[実習・立って動く]
ねじりのふりこもていねいに。左右、ねじりやすいほうに少し大きくすると
調整される。

後頭部中央のてあてもよい。(純)

2019.08.11

夏のさなかに〜8/10中之島

38度、9度と高温の関西。
フェスティバルホールの上、遠くまで見える12Fのスタジオは
都会の快適さがあります。
会場に、おしぼりが備え付けてあるのはありがたく
それを使って「目の温湿布」の体験も。

ひとつの動作が終わるたびに、楽になっていった酷暑の朝でした。

  2019.8.11 於:朝日カルチャー中之島 天野泰司
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*汗は天然のクーラー

夏は、頭に上がった気を下ろすことが大切。
「上がっている」指標は、みぞおちが硬い。頭が忙しく働き、食欲が落ちる。

夏は本来活動的な時期だが、昨今は高温すぎて動きを止めなければならない時も。
けれど、冷静に、寒くて大変な頃と比べると、
体はやわらかく、動くことに適応しやすい。

ヒトは、活発に動いて汗をかく動物。
猿から進化した時、「汗をかく」という機能が備わって
長く走ったり、行動できるようになった。

汗は、天然のクーラー。
こうして涼しい部屋で座っていても、微妙に汗をかき、発散して、
その気化熱が体を涼しくしている。
辛いものをたべて汗をかいたら、頭のクールダウンになるし
体温より高いような空気でも、風があると、汗が飛ぶので涼しく感じる。

ベトベト、だらだらと汗をかくのがよいのではなくて、
気づかないほどに汗が出ている状態、
微妙に汗が出て、常に蒸発しているような状態がよい。

部分的に、汗がかけないようなところは、停滞を起こしている。
温湿布や手をあてて、汗が出てくるようにすると
つかえがとれる。
汗がスムーズにかける体が良い。

*頭の気を下ろす

夏は、頭に気が上がって、オーバーヒートしやすい。
高温であることと、現代人がよく目を使うことにも起因している。

(「今、目が疲れていると思う人」・・ほぼ全員が手を上げる)
目は、大脳と直結している。外に飛び出した脳。

[実習・みぞおちをゆるめる]
みぞおちは、上半身と下半身の境目。
つかえをとることで気が降りて、楽になる。
息を吐きながら、指で軽くおしこみ、体をすこしまるめる。
指をゆるめて、息が入ってくる。同時に、腰から順に上半身を立ち上げる。
ゆっくりと。

[実習・目を休める〜目の温湿布]
ゆったりともたれるように座り、
あたたかいおしぼりを、たたみ直して目の上にあてる。
さめてきたら、お湯をかけて絞り直すとなお良い。

気を下ろす場所として、鼻も覚えておくと良い。
鼻をあたためると、腰の過度な緊張からくるイライラが抜ける。
高熱が下がらない時にもたいてい下がる。
足湯とともに、女性に特に良い。

寝る前に、足をなでたり、てあてするのも気が下りてよい。

暑さでのぼせるときは、つめたいおしぼりを
前髪の生え際・中央にあてる。
氷水につけて絞るとよく、臨時の時は缶ジュースにハンカチをまいても。

[実習・脳活点]
後頭部のくぼみ「ぼんのくぼ」から、骨ひとつ分下、
頚椎2番の左右、指2本分。
手の止まるところに指先をあてる。
上を向いて、楽になる首の角度をさがす。

[実習・頭部活点]
夏バテ、体力のない時に。

左右の、「鬼の角の生える場所」。
耳の前を上がった処と、黒目を上がった交点。
骨の隙間で、手の止まるところに指先をあてる。
押すのではなく、ゆっくりと。

心得のある人にてあてをしてもらうと、すーっと疲れが抜ける。

[実習・心がおちつく やさしい気功

(純)

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