心を解き放つ
3/20の「気功の学校・公開レッスン」から、実習部分をお届けします。
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@京都アスニー 天野泰司
からだをなでていきます。
てのひらをこすって。だんだんゆっくり、ていねいに。
掌をひらいて、楽な場所に置きます。
・・頭の中のお掃除から入っていきます。
[目のてあて]
掌の真ん中が目の中央に当たるような感じで、
そのままゆっくりと息を吐きます。
掌から息を吐くようなつもりで。
くりかえし、ゆっくり、楽に。
・・肩や腕をできるだけ楽にしてください。
おそらくみなさん、いろんな映像を見てきたと思うんです。
ここ1週間くらい、地震や原発関係のいろんな映像を見ていると思います。
そうした私たちが二次的に見ている映像というものは、ただ単に映像に過ぎません。
実際に起こっていることとは、また違うものです。
そして、すでに時間が経過した後です。
それを今、見ているかのように見てしまう、ということが
錯覚として起こっています。
ぽかん、として、繰り返しゆっくり息を吐いて。
頭の中の、澄み渡った感じを取り戻していきます。
少しゆるんで、目がしっとりとした感じ。
ゆっくり、掌を下ろしていきます。
[胸をなで下ろす]
…両掌を重ねて、胸の中央をゆっくりなで下ろします。
同じ映像を何度も見ると、そのたびに苦しさを思い出したりします。
それは本来、今体が感じようとしているものとは、もう、ずれてしまっているんですね。
繰り返し、ゆっくり呼吸にあわせて息を吐きながら、
「ふーっ」と、胸をなで下ろしていきます。
[肩をまわす]…肩の緊張をほどいていきます。
ゆっくり前から上に持ち上げて、後ろに持っていって
下にゆっくり落とします。
繰り返し再生される緊張は、頭を通って体の中に再現されていきますから、
頭から体に入っていくルートを主にゆるめたらいい、ということになります。
ですから、まず目を休めていく。
必要以上の情報を見すぎないことが大事です。
気がかりな場合は、信頼できる確かな情報を
映像を通してでなく、最小限の文章でまず押さえていく。
そこから必要があればまた情報を取っていく。
そうした形にしていくといいですね。
例えば、不安になる時に体をみていくと
呼吸が苦しい感じが不安に結びついていたり
免疫系の流れが不安を呼び起こしていたり
ホルモンのバランス、おなかの感じ、内蔵の緊張、
そうしたものが微妙な心の状態とつながっているのです。
不安として感じていることは、具体的な体の反応の現れ、なんですね。
反応しなければ苦しく、辛く感じたりすることはない。
心、というものは変化していく。
ころころ、と移り変わっていくのが心の特徴です。
それは子どもの心を見ていくと一番良くわかります。
ひとつのことに留まっていない。
不安がずっと留まっている。
不安になるような状況が周りにずっとあるのであれば
いたしかたない、自然な反応ですが
繰り返し記憶の再生によって起こっている場合には
実は、余分なものです。
それをだんだんに、ほどいていく。
不安や恐怖は、胸の感じ、肩の感じとつながりがあります。
小さな動きにして、ゆっくり止まっていきます。
[首をなでる]
…両手で、後ろから前に、やわらかくなでていきます。
首も、頭の緊張を反映しているんですね。
きもちよく、ゆっくり。繰り返しなでていきます。
後頭部のあたりから耳の後ろを通って、あごまで。
何かに耐えないといけない、時に
歯をくいしばる、ということがあります。
あごを緊張させることによって、
普段より緊張を長引かせることが意識的にできるのです。
それがずっと続いてしまうと、体が耐えられる範囲を越えて、
体が自然に動ける状態からだんだん離れていってしまう。
それを、また、
自然な、自分の力が発揮できる状態に戻していくんですね。
ゆるんでくると、なでるたびに
あごが自分の力で動いてきたりします。
そうして、自分で調整する動きが起こってきたら
その場所は、あとは、
自然の動きにまかせて大丈夫、ということになります。
[鎖骨をなでる]
…だんだん下りていって、首の前
鎖骨の周りを、片方づつやわらかくなでます。
デリケートな場所だけに、やわらかくなでていくと
とても気持ちがいい。
[胸腺をなでる・胸のてあて]
…真ん中に戻って、胸の中央あたりをなでます。
胸に心がある、と感じているかたは比較的多いと思います。
そのくらい、心の状態と
胸の緊張感、ゆるみぐあいはつながりあっている。
このあたり全体がなんとなく、心的な動きの中継地点。
体のいろんな動きの中で短期的な心の動き、
短い時間に思うこと、と比較的つながっているかもしれません。
それは呼吸の速度、血液が巡っていく速度と言ってもいい。
息を吸う時の気持ち良さ、
息を吐く時の安堵感。そういうスピード。
息を止める時の緊張感、
息が詰まった時の苦しさ。
それがほどけた時の安心感、ゆったりとした感じ。
胸の中央にてあてをします。
手をあてたまま、ゆっくり息をします。
ゆっくり、ふーっと下ろしていきます。
[腰をなでる]
…腰をなでます。
今、上半身で必要なのは、余分な緊張を抜いていくことですね。
腰から下が必要としているのは、
中から引き締まりが出てくることです。
[足をゆらす]
…座っていた足を前に出して、楽にぱらぱら、とゆすっていきます。
ひざをぱたぱた。
腰から足へ、ずーっとなでて、また戻って。
[足裏をなでる・足裏のてあて]
…片足ずつ、足を引き寄せて、足の裏をなでます。
中から引き締まりが出てくる、というのは、元気が出てくること。
それは、無理な力を出すのではなくて
こうやって下半身に気を集めていくことです。
足、腰にていねいに気を集めていくことが
体の元気を作っていくことに通じています。
疲れているときは、足腰がとても大事です。
疲れている人がいたら、足をなでてあげるのが
とても大切なことになります。
思ったことを行動に移すのも、腰の力がなければできません。
考えられるけれど、そこから先につながらない。
腰が引き締まらない状態では、次の行動にならない。
今、自分から動いていく力をつけていく
いちばんいい時期にあります。
春が来ている。
春という体の切り替わりの時期が、地震と重なって
日本中のおそらくほとんどの人の中に、
何かやりたいよね、って
人間として助け合っていく時だよね、っていう感じが浮かび上がってきています。
ですから、今仮に出てきている不安や心配は
実はそんなに重要なものではなくて、
むしろその裏返しにある、私たちの心の中の「今、動いていくんだ」という感じ
そちらがより重要な、本来の動きかもしれません。
それは、こうして足や腰をゆるめていくことで
培われていきます。
体が動かなかったら、物事は進まない。
ひとりひとりが、自ら考え、自ら動く。
そのことの積み重ねが今の世の中を作ってきたし、
これからの世の中を動かしていくのです。
…手をゆっくり止めて、そのまま足の裏にてあてをします。
楽に、息を吐くような感じで。
腰まで響いている、なんとなく腰があったかい感じがするととてもいいです。
反対側も。足の裏をていねいになでます。そして、止まって、てあて。
足の裏は体重を支えているので、強さを備えていきますが
赤ちゃんの足をさわってみると、そのやわらかさに気づきます。
私たちは履物をはいていられる訳ですから、
もっとやわらかな足を保ってかまいません。
足の裏をたんねんになでることは、腎臓と腰を元気にしていき
頭がぼーっとしてきて、ぽかんとしてよく眠れます。
体が暖まるので、寒い時は足をなでて寝るといいですね。
[上下体操]…そのまま仰向けにころん、ところがって
足を腰の幅に開きます。
腕はどこでもかまいません。
かかとを押し出し、つま先を引き、首のサイドの緊張を感じ
ストン、とゆるめます。
首がゆるんで余分な思考から開放される体操です。
[脱力体操]…うーんとのびて、ふっとゆるめます。
そのままの姿勢で、呼吸が落ち着くのを待ってください。
もう一度。気持ちがいいポーズをつくって、うーんとのび。
ふっとゆるめます。そのまま、呼吸が落ち着くのを待ちます。
もう一度。
[安静体操]…今、自分にとって、一番楽な姿勢で休みます。
うつぶせ、横向け、丸まって、どんな姿勢が楽か探してください。
座布団やふとんを使ってもかまいません。
動物が調子がわるい時は、
一番必要な姿勢をとって、ただじーっとしています。
[起きる]…目を覚ましたら、気持ち良くのびをします。
ひといきついて、呼吸が落ち着いたら
うつぶせに転がるようにして
うつぶせの姿勢から、楽に起き上がってきます。
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立って足踏み、肩もゆらして。細かく体全体をゆらします。
体をゆらすぶんにはいくらゆらしてもらって大丈夫ですよ、
元々の感じに戻ります。
ゆれながら、いらないものがだんだん落ちていく感じ。
今、自分の中を澄んだ感じにしていくことが大切です。
だんだんにとまって、呼吸を落ち着けて。
ゆっくりおなかで息をして、終わります。