気功のひろば
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ブログ

2014.10.31

気功生活 Vol.85

85表紙

愛する

ただ、
そのひとのために。
そのもののために。

 

【目次】

自然という最良の道   天野泰司
講座レポート
…気功の学校・浅草 季節の気功・神無月 教える
京都気功散歩 竹ノ内町を歩く
The Book of Life 10/610/11
北から南から
…アルデッツより・堺気功のひろば
秋の気功
連載・子どもの幸せのために1 「病む」

 

自然という
最良の道

天野泰司

ロイ先生のこと
今年2014年8月。
整体協会の野口裕介先生がご逝去されました。

ちょうど整体を学びはじめた頃、
京都で毎月愉気法講座に通い、
ご指導を受けていたことを思い出します。
静かで謙虚、淡々とした口調の中に、どこか明るさがあり
暖かく包まれるような感覚。
父・野口晴哉先生の技術や言葉を高校生の頃から近くで見聞きし、
肌で感じてきたことが自然とその体から湧き出しているようで、
そこにいることが私はとても好きでした。
私のロイ先生(裕介先生の愛称)に対する信頼は、
意識よりむしろ無意識的なものが強かったのかもしれません。

ていねいに言葉を選び、正確に技術を伝承する一方で、
常に新しい道を模索されていたようにも思います。
「自ら整う」という整体の原点・活元運動への回帰、
中心テーマである体癖研究の深化、
高等技術とされていた「穴追い」の一般化など、
それらを着々と具体的な形にしていくゆるぎない姿勢に
大きな影響をずっと受け続けていました。

いのちを見つめる
私が整体を学びはじめたのは、長女が生まれた20年ほど前です。
それ以前から心と体に強い関心を持って、
気功や東洋医学を学んでいましたが、
ひとつの命が誕生するという大きな出来事を前にして、
整体を真剣に学ぶようになり、
子育てに必要不可欠な心得として愉気を学ぶようになったのです。

『育児の本』『躾の時期』(全生社)など、
晴哉先生の育児関係の著作からは、
一人の人間に対する愛情の深さと、正確で細やかな
気配り心配りが感じられます。
ある人はそこに書いてある手法を見て、
整体式の育児だと考えるかもしれませんが、
私はそうは思いませんでした。
生命を尊重し、自然ということを徹底して追求していくと、
こう育てることになる。
これが、あたりまえの自然な育児なんだと。

当時、整体協会の本は一般書店では入手できず、
情報も限られ、誤解や偏見も多かったと思います。
2002年に野口晴哉著『整体入門』が
ちくま文庫として復刊しベストセラーとなった時には、
大きな時代の変化を感じたものです。
続いて2003年『風邪の効用』、
2006年『朴葉の下駄 回想の野口晴哉』、
2013年『体癖』と同じちくま文庫で刊行され、
整体が周知のものとなっていく流れは、とても喜ばしいものでした。

本物と本物が出会う
1999年の年末、
禅密功を創始者劉漢文先生から直接に習い、
以来最晩年の4年間、密度の高い交流がありました。
シンプルで自由な動き、
背骨自らが動き出すこと、
心身両面の繊細な動きを観ること、
背後にある性の働きなどを学び、
気功と整体は切っても切れないものにつながっていきました。

この体験がなければ、気功と整体は平行線のまま、
今のように結ばれることはなかったでしょう。
「自然が先生」
「先生はいない。私たちは皆同級生。小学生のように交流しよう」と、
権威を廃し、徹底して自然に学ぶ姿勢が心に焼き付いています。

ほぼ同時期、2000年の年初から
氣道の長谷川淨潤先生との交流が始まりました。
ともすると敷居が高くなりがちな整体の世界、そこをぐっと近づけて
在野の健康法と見事に融合されていることに驚きました。
定期的に講座や連載をしていただきながら、
なぜ様々な健康法と整体が一つにまとまっていくのかという
エッセンスを急速に吸収していきました。

夢見ているもの
野口晴哉先生が夢見ていたのは、
誰もがにこにこしながらお互いに気持よく生きていくこと。
その探求の最中に整体が完成されていきました。
私たちも同じ夢を追いかけながら、
気功を創ってきました。
誰か上手な人に頼っていたのでは、
一人一人は強くしなやかになっていかない。
だから自らが整うための
誰でもできる簡単なことが必要になります。

と同時に、簡単なことであれば何でも良いというものでもなく、
ピタッと的を射たものでなければ、
体は固く心は不自由になっていってしまう。
その絶妙なバランスの中にある一本の糸をたどるようにして、
今なお発展途上中のものが、
私たちが学び、研鑽している気功です。

気功の中心テーマは、自然。
「自然」とは、
この瞬間に、これしかないという最良の道を選び続けること。
そこには何の壁も、区分けもありません。

12/13に、ロイ先生の追善を兼ねて
氣道協会との共催企画を計画しています。
横浜へぜひ足をお運びください。

2015年の「気功の学校」の受付も始まります。
テーマは自然。
原点に還って、もう一度基礎の基礎から洗い直し、
共に自然を学んでいきます。
生徒あっての気功の学校。
新入生も再受講もお待ちしています。

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