健全で正常な反応
The Book of Life 4/6のテーマは
A Healthy, Normal Reaction
*クリシュナムルティの言葉を、
一日一ページ 、365日分に編集された本「The Book of Life」を 一日分ずつ翻訳しています。
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J.クリシュナムルティ 訳・天野泰司
欲というものは、どうしてこんなにも人生に大きな影響を与えるのでしょうか。
なぜなのか、見出さなければなりません。
正しいかもしれないし、正しくないかもしれませんが、私はこう思います。
欲が生じる、それは反応です。
健全で、正常な反応です。
欲が生じないのなら、死んでいるも同然です。
美しいものを見て、「わあ、これ欲しい!」と言います。
そうでなければ、生きていませんね。
しかし、絶え間なく欲を追求していると、苦痛が生じます。
楽しみだけではなく苦痛がある。それが問題なんです。
けれども、美しい女性がいて、その女性を見て、
「いや、美人ではない」などと否定するのは愚の骨頂です。
事実なのですから。
では、楽しみを持続させようとするものは何でしょうか。
明らかに、それは思考です。そのことについて考えているからです。
そのことを考える。すると、もはやその対象物との直接的な関係が失われています。
「欲」は、その直接的な関係だったのですが、
そのことについて考え、様々なイメージ、空想や思いを抱き、
思考が今、欲を次々と増殖させているのです。
思考がやってきてはあなたに言うでしょう。
「それはぜひとも手に入れなければ」「これは儲かる」
「これは重要だ」「重要ではない」
「これはあなたの人生に不可欠だ」「不可欠ではない」と。
しかしながら、
それを見て、欲が生じる。ただ、それで終わり。
こうして、思考が干渉することなく見ることも可能なのです。