気功のひろば
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ブログ

2019.10.18

心のリラックス〜9/8京都

毎月第二日曜、「季節の気功」9月のお話から。
*次回→11/10「冷えに強くなる」

2019/9/18 於:朝日カルチャー京都 天野泰司
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*秋をあじわう

季節の巡りが、変化を生む。
生きる中で様々なことに出会う。辛いこと、楽しいこと、
ずっと続くといいな、と思ったり
これが続くとどうしよう、と思ったりするけれど、
季節は、ピークを超えてはまた巡り、必ず動きがあって循環している。
暑さが過ぎると、また涼しくなることを体が事前に察知して準備している。
もし、今が「最悪!」であっても
冬なら春を思い、夏なら秋がくることを思う。

新春の頃、体は春を感じて動き始める。
生まれ直す感覚、体も立て直す時。
春に向けて骨盤が開き、体は毎年リセットされる。
例えば、赤ちゃんが生まれたら、家中にその新しい気配が充満し
男性もフルリセットを体験する。

春は勢いがあり、秋は落ち着きがある。
季節の巡りの中で、体は次の春に向けて準備してゆく。
秋を心地よく過ごすと、春が気持ちよく迎えられる。

秋は、冬に向けて体が引き締ろうとするが、引き締れない部分が出てくる。
左右差が生じて、腰のねじれや冷えにつながる。

症状が出てきたら、「その場でほどく」ことを繰り返しやっていく。
多少は気にしないでやっていくことが積み重なると、体が鈍ってくる。
小さな異常をその場でリセットし、切り替えていくことで、生きる楽しみが増えてゆく。
渦中にあると、気持ち良さに気づかない。
一年のなかで、いまが「秋の入り口」にあることを思い、
秋の気持ち良さを味わうように。

*軽くなる私

生まれて、死んでゆく、どちらも同じ輝き。
暖かさと真剣さを持って向き合う。
死に向かうときは、積み上げてきたものを下ろしてゆく。
四十九日という修行期間に、7日づつ7体の仏がついてくれて
さまざまなものを落とし、
そして1周忌はどの仏、3回忌はどの仏、と
解脱に向けて、あらゆる束縛を解いてゆくのが輪廻思想。

苦しみや辛いことに煩わされない世界があり、
そこへいくことができるかもしれない、
それを成し遂げたブッダという方がいて、
生きている間にも
そちらの方向へ向かえばいいんだな、という空想は、大きな力がある。

「悟り」は、特別なことではなくて、とらわれからふっとぬけた状態。
歩いていてふと気持ち良い瞬間があるように、日常の至る所に悟りがある。
昔の生活はシンプルで、生きていければいい、ような時代が続いた。
「妙好人」のように、市井の隅にある人がただ念仏を重ねるうちに
その言葉やありようが人を助け、後世に残る例もある。

毎日、何も考えずに繰り返しできるような状態を作るとよい。
気功はその一助になる。
シンプルなことを、何も考えずにたんたんとやっていく。
自分のなくなった感じ、軽くなる感覚。
自分で設定している「私」がほどけたとき、ほんとうの自分が現れてくる。
心が休まって、小さいレベルの悟りに出会っていく。

例えば「ふりこ」、単純な動作の繰り返しで、意識がほどけていく。
順番や、様々なことを忘れて、何もない集中した時が生まれる。

坐禅をしていて、様々なことが浮かんで集中しにくいものだが
何をしているかわからないくらいの感覚で座っている時には、
警策は通り過ぎていく。

辛い思いが浮き出してくる時がある。
昔の傷や、苦しかった体験など、
心の奥深くで、見えなかったものが顕在化する時が、変わる時。

漠然とした嫌な感じや、辛さと同時に、体になんとなく嫌な感じが生じてくる。
その時に体の違和感をなくす。
迎え入れ、気持ちよくなるように。

辛さを他人のせいにすると、すりかえが起こる。
少し楽になったような気がして、スッキリ感があっても
自分の苦しみは保存されてしまう。

辛さが出てきては、消えることを習慣づけていると、
辛いことを体が最初からよけて、受けないようになってくる。

[実習・頭部活点のてあて〜おちつく気功]
左右の、「鬼の角の生える場所」、耳の前を上がった処と、黒目を上がった交点。
骨の隙間で、手の止まるところに指先をあてる。
押すのではなく、ゆっくりと。

[実習・わき腹をつまむ・内股をなでる]
秋の、からだのねじれをとるポイント。ゆっくり、ていねいに。

[実習・立って動く]
ねじりのふりこもていねいに。左右、ねじりやすいほうに少し大きくすると
調整される。

後頭部中央のてあてもよい。(純)

2019.08.11

夏のさなかに〜8/10中之島

38度、9度と高温の関西。
フェスティバルホールの上、遠くまで見える12Fのスタジオは
都会の快適さがあります。
会場に、おしぼりが備え付けてあるのはありがたく
それを使って「目の温湿布」の体験も。

ひとつの動作が終わるたびに、楽になっていった酷暑の朝でした。

  2019.8.11 於:朝日カルチャー中之島 天野泰司
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*汗は天然のクーラー

夏は、頭に上がった気を下ろすことが大切。
「上がっている」指標は、みぞおちが硬い。頭が忙しく働き、食欲が落ちる。

夏は本来活動的な時期だが、昨今は高温すぎて動きを止めなければならない時も。
けれど、冷静に、寒くて大変な頃と比べると、
体はやわらかく、動くことに適応しやすい。

ヒトは、活発に動いて汗をかく動物。
猿から進化した時、「汗をかく」という機能が備わって
長く走ったり、行動できるようになった。

汗は、天然のクーラー。
こうして涼しい部屋で座っていても、微妙に汗をかき、発散して、
その気化熱が体を涼しくしている。
辛いものをたべて汗をかいたら、頭のクールダウンになるし
体温より高いような空気でも、風があると、汗が飛ぶので涼しく感じる。

ベトベト、だらだらと汗をかくのがよいのではなくて、
気づかないほどに汗が出ている状態、
微妙に汗が出て、常に蒸発しているような状態がよい。

部分的に、汗がかけないようなところは、停滞を起こしている。
温湿布や手をあてて、汗が出てくるようにすると
つかえがとれる。
汗がスムーズにかける体が良い。

*頭の気を下ろす

夏は、頭に気が上がって、オーバーヒートしやすい。
高温であることと、現代人がよく目を使うことにも起因している。

(「今、目が疲れていると思う人」・・ほぼ全員が手を上げる)
目は、大脳と直結している。外に飛び出した脳。

[実習・みぞおちをゆるめる]
みぞおちは、上半身と下半身の境目。
つかえをとることで気が降りて、楽になる。
息を吐きながら、指で軽くおしこみ、体をすこしまるめる。
指をゆるめて、息が入ってくる。同時に、腰から順に上半身を立ち上げる。
ゆっくりと。

[実習・目を休める〜目の温湿布]
ゆったりともたれるように座り、
あたたかいおしぼりを、たたみ直して目の上にあてる。
さめてきたら、お湯をかけて絞り直すとなお良い。

気を下ろす場所として、鼻も覚えておくと良い。
鼻をあたためると、腰の過度な緊張からくるイライラが抜ける。
高熱が下がらない時にもたいてい下がる。
足湯とともに、女性に特に良い。

寝る前に、足をなでたり、てあてするのも気が下りてよい。

暑さでのぼせるときは、つめたいおしぼりを
前髪の生え際・中央にあてる。
氷水につけて絞るとよく、臨時の時は缶ジュースにハンカチをまいても。

[実習・脳活点]
後頭部のくぼみ「ぼんのくぼ」から、骨ひとつ分下、
頚椎2番の左右、指2本分。
手の止まるところに指先をあてる。
上を向いて、楽になる首の角度をさがす。

[実習・頭部活点]
夏バテ、体力のない時に。

左右の、「鬼の角の生える場所」。
耳の前を上がった処と、黒目を上がった交点。
骨の隙間で、手の止まるところに指先をあてる。
押すのではなく、ゆっくりと。

心得のある人にてあてをしてもらうと、すーっと疲れが抜ける。

[実習・心がおちつく やさしい気功

(純)

2019.07.26

ハライとコイ〜7/17京都

木曜日定例クラスのお話から。
祇園祭のさなか、7/17と24を合わせて。

於:朝日カルチャー京都 天野泰司
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*ハライとコイ

祇園祭が「前祭」「後祭」と、昔の形に戻って何年か経った。

「前祭」(さきまつり)では、山鉾が逆時計回りに巡行し、各町内の厄を落とし
集めて、戻ってきたらすぐに解体する。
そしてお神輿に乗った神さまをお旅所まできていただいて、
「後祭」(あとまつり)では、山鉾が順時計回りに
鴨川の流れにそって巡行し、神様が八坂神社に還る。

古神道では「ハライ」→「コイ」、
古い密教の流れをくむ禅密功では、「消災」→「植福」といい、
消災は逆回り、植福は順回りと、回転方向も一致する。

本来は、災・福の区別なく、全身で生きているものだが
実際に体が感じている痛みと、認識、意識の働きにズレが生じて
行き詰まりや、具合悪さが生じる。
何か外因があって「私はこう」と考えやすいが
その心と体の隔たりを、神様ごととして釣り合わせてゆくことで
我、自分を越えて何かに預けていくことで
過剰な期待が吹っ切れる。
内側の争いがなくなり、バランスがとれていく。

それは、気功も同じ。
自らの体との対話から、「私」「我」を越えたものとの調和が起こる。

普段は「私」と思っているものが私だが、
「私」の範囲が限定されなくなっていく。
日本語には主語がなく、「私を越えた私」が好んで選ばれてきた。

そうした全体的バランスのなかで、「生きている体」の位置を取り直すのが
気功であり、おまつり、本来の選挙。

ちょうど選挙があった。
政治は「まつりごと」と言い、真に釣り合わせることを言う。
さまざまな違い、意見を、ヤジロベエのように釣り合わせていく。
一度「払い」があって、「請い」。
このタイミングはなかなかいい。
バランスを取り戻すことで、心身は一番適切な働きをする。

*発汗をスムーズに

汗は天然のクーラー。夏の健康は、
汗をかくこと、かいた汗が冷えて再吸収されないことが大切。

さっと汗をかき、どんどん乾く状態がよい。
足の太ももの裏は、汗に直結している。
かかとをつきだすようにしたり、よくなでて伸ばす。

夏の足湯は、発汗をうながす。何分、と決めないで、
左右差にもあまりとらわれず、ほんのり汗ばんだらそれで良い。
疲れが抜ける。
秋の足湯は、冷えやねじれをとる。また役割が変わってくる。

体の疲れは、筋肉に乳酸などの疲労物質が溜まっている状態。
いらないものを、部分的にたくわえている状態。
その部分がゆるみ、汗が出ると、一気に疲れが抜ける。

後頭部中央のてあてもよい。(純)

2019.06.16

内なる力を引き出す〜6/9京都

朝日カルチャー京都、第二日曜午後「季節の気功」
6月の講座から。

 *次回は 7/14「呼吸が深くなる」です。
 2019/6/9 於:朝日カルチャー京都 天野泰司
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*ちょうどいい全力

私たちが潜在的に持っている力は大きく、使っていない部分も大きい。
入ってきたエネルギーと、出ていくエネルギーに釣り合いがとれているのが
ちょうどよく、力を発揮できている状態。

生活レベルが昔より上がって、エネルギー余剰が生じ
それが疲労感につながることもある。
消耗のために本来必要のない病気をしたり、
体への嫌な感じを少しずつ出していく、といったことも起こる。

何か晴れない感じ、心理的負担、病気という方向から
本来の力の使い方へ戻していく。
一つは物理的に、体を動かすこと。
もうひとつは、自主的・主体的に、人の役に立つことをしたり
責任のあるポジションにつくのでも、使うエネルギーは大きくなる。
「ちょうどいい全力」のスイッチを入れることで、
内なる力は引き出される。

*力を抜いて動く

力を発揮したくても出せない状態を解消することで、
うつうつとした「今まで」も、解消していく力になる。

それは社会的に動いていくことだけではなくて、
梅雨という湿度の高い季節に対応する方法を身につけることも同様。

雨が続くと、外出がしにくく、物理的に「力を発揮したくても出せない状態」になる。
また、湿度の高さで、皮膚がべたついて汗が出ないので、
呼吸がしにくく、肺の中も同じ状態になる。
呼吸の量が減って質が鈍る。
出た汗を冷房などで冷やし、一度捨てた不要物を体内に再吸収してしまうことも。
そうしたことで腎臓が疲れ、腰に至り、だるさや腰痛を引き起こす。

動きにくい中で動くには、「力を抜いて動くこと」が最初のスイッチ。
動きやすくなり、出切らなかった汗が出て、腰が楽になる。
[実習・肩の荷がおりる気功

*頭を休める

様々なことが身辺にあって、なかなか自分に集中していない私たち。
自分に改めて集中すること。
それが、「私に気をあつめる」ことになる。

昨日兄の部屋を片付けていたが、物が多いと必要なものにたどりつけない。
同じものがいくつもあったりする。
同じように、頭の中も整理する時間=体のゆるむ体制を自分でつくる。
[実習・心がおちつく やさしい気功

心理的な緊張は、首のサイドライン・目・アキレス腱などに出る。
ふんわりとてあてしたり、お湯でしぼったタオルであたためる。

*梅雨のポイント

[実習・指をのばす]指の間の水かきをつまむ。
手足の指を一本ずつ、ゆっくり回してからじんわり引っ張る。
指を全部開いて、遠くへ伸びてゆくイメージを持つ。

[実習・胸椎5番]下ろした手の手首を立て、指先を後ろへ回していく。
肩甲骨どうしが近づき、体が少しそって、上を向く感じ。
ふっとゆるめる。上胸部がゆるんで、目や呼吸が楽に。

続いて、片手を上、片手を下にして、
手首を立てて、天と地を手のひらで支える。
肘を後ろに、肩甲骨を寄せ、ポンとゆるめる。
胸椎5番がゆるんで汗のかきやすい体に。

[実習・ゆする]立った状態で膝をゆるめ、こまかくゆする。
自由に、ゆれたいところをどんどん探していく。
だんだんに止まる。

[実習・脚の裏側]この時期にちぢみやすい部分。
座るか寝て、かかとを突き出し、ももの裏側からふくらはぎ、
脚全体の裏側を伸ばして、ふっとゆるめる。

[実習・てあて]後頭部の中央。上から指でたどって、
手のとまるところにしばらく軽く指をあてる。
脇腹をつまんでから、おへそと腰の裏側(命門)に、
片手づつあててゆっくり集中する。

(純)

2019.04.23

生まれ変わる心と体 〜3/23中之島

2019/3/23 於:朝日カルチャー中之島 天野泰司
  *次回は5/25「眠りを深く」
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*冬から春へ
春分の頃から、体が春に切り替わってゆくが
つかえて止まっている部分や、気分が切り替わっていないことがある。
なので、寒の戻りはありがたいこと。
取り残されたグループが、行きつ戻りつ、
変化についていきにくい時、人にメリットになる。
今日は冬から春の調整をたどっていこう。

1月頃、冬は後頭骨が開いて上がる。
無心な、ポカンとした状態に身を置いて、頭をゆるめる。

2月頃、肩甲骨が開いてくる。
肩をゆるめる。
花粉症的な症状の大部分は、自ら肩の緊張をほどこうとしている。

3月頃、骨盤が開いて上がる。
骨盤は収縮、弛緩の最もはっきりした部位。
ダイナミックに、ふわっとゆるんでくる。
骨盤がゆるんでくると、「なんとなく楽しい」気持ちがあふれてきて、
嫌なことを感じなくなる。
それは、誕生の感覚。

私たちの前には、様々な過去が壁のように立ちふさがり
過去と向かい合いながら生きている。
失敗、辛苦、こんな目にあった、どうせ私など・・といった思い、
骨盤が緩んでくると、心が広がって
そうした思いや、過去にとらわれる気持ちが重要でなくなる。

それは、「今までの私」が一度死ぬことに近い。
春は、再生のとき。
小さい「私」から、自分の枠を超えて心が広がっていく体感。
今までつみあげてきたことに、こだわりがなくなり
身辺に、ワクワク感がいつもある感じ。
赤ちゃんが何をみても新鮮、そうした感覚。

自然には、同じ瞬間がない。
大人でありながら、そうした感覚で心身が変化する季節。
日々、違った心持ちで。

[実習・あくび〜心がおちつく やさしい気功

*天然の自発性

イチロー選手の引退会見を聞いていた。
自分に素直に、自発性にブレーキをかけなかったイチロー。
どこから切ってもよくわかる会見だった。

子供の成長と同じ、自分の中で設定したハードルを超えて、また超えて。
「天然の自発性」が働くと、気づくと能力が得られている。
ほんのすこしでも、能力が上がっていく方向、
心の明るさを取り戻し、体が元気になっていく方向へ向かう。
完全にクリアできなくてもいい。
流れ出すと、止まらない。
まるで、誕生の時のように。

他人の設定したハードルを外す。
肩の荷をいったん下ろす。
自分が設定したことは、肩の荷にならない。

昨日より、今日が気持ちいい。
十分なリラックスが大事。

[実習・「肩の荷がおりる気功」春ver.]

*春の体と花粉症

骨盤の中には、複雑に多くの関節がある。
花粉症の場合は、左の骨盤、仙腸関節につかえがある。
それには、目と鼻をゆるめる(=てあて、温湿布)こと、
肩甲骨、肩をゆるめる(=肩の荷がおりる気功、ふりこなど)を
気持ちよく、楽しい感覚でやっていく。
努力するスタイルは、ほとんどの人に合わない。
一斉に、体に花が開いてくるような感じで。

そして、骨盤の気持ち良さを高めること。
つまり、日々、嫌なこと・大変なことをできるだけしないで、
気持ちよくすごすことが大切。
「嫌なことをしない」ことが、大きい変化を生む。

嫌なことをしないといけない時は、全く無理しないでいい時間を
一日の中で確保する。
そうすることで、嫌と思っていた中に、面白さを受け取る能力が広がってくる。
それは、心の能力が上がっていく流れ。
どんな技術も追いつかない。

(純)

2019.04.23

心がひろがる〜4/14京都

朝日カルチャー京都、第二日曜午後「季節の気功」
4月の講座から。

 *次回は5/12「過去を乗り越える」です。
 2019/4/14 於:朝日カルチャー京都天野泰司
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*心は広いもの

心は、もともと広いもの。
国や地域、親、周囲の人、学校、そうした条件で
本人が気づかないうちに、狭くなってくる。

この季節は、そうしたことに気づく好機。
赤ちゃんのように広々とした心、子どものようにのびのびした心。
そんな心を取り戻すことで、生きていくのが楽になる。

動物は、先の心配はしない。
思考があり、言葉を持つ。
そのことで、心が広がり、また狭まる。

意識せずに思考、言葉を使ってきたところから、
考えて使っていくタイミング、時代に入ってきたと思う。

*春のやり直し

例年なら初夏の陽気に向かっている頃だが、春をやり直しているような寒さ。
1-3月にかけて、後頭部、肩甲骨、骨盤が順に開いていく、
そうした変化をやり直せるのは大きなメリット。

頭をゆるめ、肩をゆるめる。
肩にかかっているブレーキを外すことで、
頭と腰のつながりがよくなり、
背負っている責任感のようなものを一旦下ろすことができる。
男性は肩甲骨が大きく、骨盤が小さい。
女性は肩甲骨が小さく、骨盤が大きい。
つまり、男性は社会的な責任感で行動できるが、
女性は本能的な部分が大きく、そうしたことが負担になる。
得意な方が、得意なことを受け持つのがよい。

体は、骨の集合体。
骨と骨の間を全部開いていくことで、体が広がっていく。

とくに腕を広げていくことで、心が広がっていく。
呼吸が楽になると、なんだか楽しい感じに。
胸に花が開いていくようなイメージで。
[実習]

2019.03.11

骨盤がひらく 〜3/10京都

朝日カルチャー京都、第二日曜午後「季節の気功」
3月の講座から。
おちつく気功の1週間」と連動したお話です。

 *次回は4/14「心がひろがる」
 2019/3/10 於:朝日カルチャー京都天野泰司
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*春きたる

冬は神経系統、頭にエネルギーが上がり、集中して物を考えたりするのによい季節。
春になるにつれて、頭がひらき、肩甲骨が開き、骨盤が開いて浮かぶ、と
順々にエネルギーが降りてきて、頭はゆるみ、骨盤がよく働き始める。

考える以前に、自ずと体が動きたくなる。
好きなこと、ときめくことに骨盤が動き、すると足が動き、そちらへ向かってしまう。
それは本質的ないのちの働き、全体を動かすエンジン。
健康的な心身を保つのにも、いちばん大切。

その働きを培うのが今の季節。大きな変化が誘導される。

*出てきた悲しみには

昔の辛さ、悲しみは、同じ時期に起こってきやすい。
それは、体に潜在した辛さを解消しようとする働き。

同じ悲しみでも、思い出した時にスッキリ感があるものと、
思い出して悲しい、息が詰まる、その思いがぐるぐる回る、胸が詰まるなど
不快感がある悲しさとは、「悲しみの質」が違う。

まだほどけていないものが、体の「乗り越えたい」意思として
浮かんでくる。
乗り越える時でないものは、体が自動的に潜在させていて
乗り越えられるタイミングに、昔の悲しみが表面に出てくる。

それは、まず「よく出てきてくれたね」といった感覚をもって後
すぐ意識を切り替えて
体のなかで、そのことを思い出したときに
痛み、違和感のある部分をさがす。
そして、その違和感がなくなるまで、ていねいにその場所に集中する。
胸だったり、肋骨だったり、頭だったり、
できるだけ「この場所」と特定していって、じっと手をあてるのがよい。

そうすると、その部分がすうっと楽になるとともに
心の痛みも昇華されてゆく。

昔の悲しみが出てきたときは、普通、打ち消すか、それにひたるか、になるだろう。
ひたって、涙が出ることで、悲しみがピークをこし
過ぎたら落ち着いて、素直に変化できる。
打ち消したり、意図的にコントロールすると、
体の中でまた潜在し、1年間持ち越すことになり、
気づかないように体の感度が下がり、苦しみも嬉しさも感じにくくなってしまう。

感情が出てきた時に、ほどいていくことが大切。
出てきた時が、重要な糸口。
体に集中すること。
変化の流れに、心地よさをみつけることが大切。

[実習・心がおちつく やさしい気功
初めに辛かった出来事を一瞬思い出し、あとは手をなでながら、気持ち良さに集中していく。

本来、自分がもっていた「気持ち良さ」に目覚めていくことを
「覚醒」という。
心地よさは、外に求めていくものではない。

この消費社会では、外に目を向けさせようと膨大な努力がなされる。
「売る・消費する・お金が回る」ことは数百年のことで、
その歯車のなかでそうしなければと動いているが、
元来、そうではないという軸足に立っておくことが大切。

売り上げの目標に向けて会議をし、決算の帳尻を合わせるために
役に立たなくても新しい商品を作って売り、売れなかったら膨大な無駄を出す。
その歯車の中に生きて、自分以外の何かに投資させる仕組みが
大き過ぎて、後に戻れず、先にも進めない人が多くいるだろう。

体が本来持つ「気持ち良さ」は、外に向かったものではない。
たとえば瞑想の中にも、静かで大きな心地よさがある。

今年は、時代の転換点にある。

*花粉症

鼻、目、せき、すべて骨盤の系統。鼻のてあてがよい。
鼻の周りで、違和感のあるところを丁寧にさがし、てあてする。
鼻と目の温湿布もよい。(参考・「気功生活」111号/花粉症特集)
[実習・鼻のてあて]

*呼吸器

[実習・尾骨のてあて・前後にゆれる・後頭部のてあて(片方)・化膿活点のてあて]
(純)

2019.02.27

肩の荷が下りる 〜2/10京都

朝日カルチャー京都、第二日曜午後「季節の気功」
2月の講座から。
*次回は3/10「骨盤が開く」。1-3月の総まとめ。

2019/2/10 於:朝日カルチャー京都天野泰司
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*春を目前に
寒波がきて、一度引き締まった今。
今、体は、よりのびのびと、行きたい方へ向かっていく気配。
そして寒さにきゅっとなった心は、
ほどけてのびやかに動き出す。
自由な心と体へ向かって、ステップを踏む季節。

たづながほどけていく時は、順風が吹けば自然に流れる。
無理せず、自然にまかせるのが良い。

[実習・心がおちつく やさしい気功
後頭部のてあて、足腰、ひざをていねいになでることを加えて。

*変化の頃
春を前に、変化の大きい時期。
変わりにくかったものが切り替わる時。
風邪や長引く不調も、体の内の火がついた、
上手に燃やしていこう、と考えて。

この時期は、「心がおちつく」気功のように、
大脳をゆるめ、骨盤をゆるめていく流れが合っている。
目のてあて、温湿布、ひざや骨盤をなでたり
足湯など、足に気を通すのもよい。

足湯は、ちょうどくるぶしのいちばん高いところまで
お湯を入れると、骨盤がゆるみやすく
神経系統もゆるめるには、アキレス腱までつけるとよい。

「元気になろう」とすると長引く。
気功や、足湯などをしている時は、何も考えない。
気持ちよさや、温めること、環境を整えて集中することが大切。

辛さがあると、強引に「今」に引き戻される。
意識が体から離れることができない。
気が集められて、心身が変わってゆく。

症状を楽に乗り越えるには、「今」から逃げようとしない。
楽になる体勢、楽になる方法を作っていく。
お彼岸までは、水を飲むことを忘れずに。

肩の荷は、一度下ろしてみるとよい。
自ら背負うことを選んで、また背負い直すと全く違った自由がある。
自由に立ち戻って、楽しい、新しい選択をしていこう。

[実習・肩の荷がおりる気功
(純)

2018.12.25

腰痛になる心理 〜11/17中之島

気になるタイトル、目から鱗。
加筆したものは、会報「気功生活」110号に収録。
無料でお送りします、こちらから「最新号送付希望」へどうぞ。

2018/11/17 於:朝日カルチャー中之島
天野泰司  *次回は3/23 「春の体」
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*病は気から

「病は気から」と言われるけれど、
気の不足が、本質的な腰痛の原因。
例えば、「赤ちゃんが生まれた」と聞くと、「わぁ、見てみたいなぁ〜」と思う。
私たちにも赤ちゃんに気を集めたい本能があり、
赤ちゃんも、みんなの気を集めて豊かに育ってゆく。
気が満ちれば、生命活動が盛んになるし、
気が不足すると、勢いがなくなり、腰が萎縮する。

*痛い腰痛
全ての腰痛に共通するのは、腰椎3番の過度のねじれ。
3番は腰の中心、腰の力を回復しようとして気を集める。
「痛み」は、気を集めるための手段。
3番の故障は大きな痛みを伴いやすい。
「体がぜんぜん動かせない」
とにかく「痛いんです」といった、
激しい症状が出てくるのもそのため、

3番という、腰の中心から気をそらすと痛む。
本気になって気を集めざるを得ない状態に追い込まれる。
腰痛とは、自分で自分に、気を集めるためのトレーニング期間。
痛みが出る=元気がある、ということ。
打撲はまた別だが、解消しようとする時に痛みを伴いやすい。

「痛み」は、周りの人の気も集めやすい。
「痛い、痛い」と言っている人は周りの人の気を集めたい人。

例えば鎮痛剤で腰椎3番の痛みを感じなくすると、
腰椎3番がねじれたままのバランスを取ろうとして、
自分で周りのいくつかの骨も固めて、動かなくなる。
固めてしまうのではなく、じっと気を集めて待つ。
そうして、腰が強くしなやかになっていく。

*言えない腰痛
先のことに不安を持ちつづけたり、
言いたいことが言えないと
腰痛が起こりやすい。
先の不安が胸の緊張を生み、呼吸が浅く、行動がおっくうになる。
言いたいことが言えないと、息を止めて堪える感じになり、じっとしてしまう。
この胸の萎縮感と、行動の停滞が重なって、
腰椎5番が突出し、3番のねじれを引き起こす。
そうした腰痛は、動き始めが痛い。朝が動けない。
明るい空想ができたり、言えてほっとしたり、ももの後ろ側を
のばすようにすると治りやすい。

*悩む腰痛
頭が働き続けたり、消極的な思考が回ってばかりいると、
腰椎1番が上がったままになり、腰に気がいかず、
3番がねじれやすくなる。
ずっと痛みが続くが、動けないほどではない。
昔は、立ち仕事をする人に多かった。
今は、目の使いすぎや頭の疲れが多い。
こうした、目の疲れ、悩みが原因の腰痛は、
腰椎1番からきているので、目や頭をゆるめることが大事。

*がんばりすぎの腰痛
自分にむち打って、がんばりすぎたり
「こうしようか、やっぱりこうだろうか」と葛藤が起こるタイプの腰痛。
方向性が見えてこず、心の中の戦いで力を使ってしまうため、
本来の力が発揮できない。
直接、腰椎3番がねじれる。
常に戦うような気持ちをほどく。
自分で動ける範囲のことは、必ずある。
内の対立が、動くことで減っていく。

*腰痛になる意味
力を抜いて、純粋に骨盤の持つ大きなエネルギーを昇華する。
つまり、
思った通りのことを気持ちよくやる。
「こうしよう!」と思ったら、さっと動こう。

「動きたいけど動けない」気持ちは、腰痛に必ず内包されている。
気功をして、具体的に腰痛を体から解消することと
気持ちを解放していく、その両方から腰痛を乗り越え、
痛みを通じて体全体を元気にしていこう。

腰痛になる、ということは、若いということ。
悩みがあったり、自分に鞭打ったり、葛藤があったり。
今、そういうものを乗り越えていきたいと思っている、
周りがそうなんだな、とわかってあげると、腰の力が出てくる。

[実習・腰椎1〜のび・あくび・頭部活点・耳もみ・目に手をかざす〜目のてあて]
ゆっくり上に、のびをする。
ゆっくりと、あごをゆるめて
頚椎2番あたりの、ちょうつがいになるようなところから、上を向く。
痛いところは避けて、楽な角度を探す。
口をだんだんにあけて、自然にあくびをする。
「頭部活点」は、鬼の角の生えるところ。
耳の前を上がったラインと、眼球を上がったラインの交点。

頭の中がゆるむと、腰(動きの中心)に気が下りる。
腰を丈夫にしていくことができ、腰痛の予防にも治療にもなる。

今の時代は、目・頭を使うことがこれまでと桁違いに多い。
その疲労を抜いていくことで、腰から主体性が湧いてくる。
「こうしたい」と思った時、自由に動ける。
考える以前に、腰が動く。
その要求の通りにする。

ハードルがあって、それでもしたい時は、腰の思いに添って
実行に移すことが大事。

[実習・腰椎5〜「肩の荷がおりる気功」腰痛ver.
ねじりのふりこ・脇腹をつまむ]

*ふりこの効用
やりすぎは、努力を伴う。
気づいていない「やりすぎ」は、例えば寝ている時など
努力している感覚がない時も働きつづける。

例えば「ねじりのふりこ」を、ある程度の時間やって、
疲れや違和感が浮き立ってくると、自己調整が始まる。
「気づかない努力」に気づきやすい体勢が出てくる。
そうしたことが、本質的な腰痛解消法になり、
同時に腰椎3番のねじれをとっていく、具体的な方法になる。

最良の方向へ向かう流れは一本しかない。
それを「経過する」という。
自然の流れを乱さないように、頭の中をゆるめ、感覚を働かせて、
繰り返しのゆっくりしたシンプルな運動で、ねじれをとる。

そうすることで、心の葛藤が減り、心理的強さも出てくる。
「痛みを通じて頑張る」必要のない心の強さが出てくる。

[実習・頭頂部・腰椎3・肛門を引き上げる]

Q.「冷えになる心理」もあるか。
A.心が閉じている。心がほどけていくと、また引き締まることができ、
骨盤が柔軟に開閉することで、気持ちも体もとどまらず動ける。

(純)

2018.12.23

心と体の大掃除 〜12/9京都

朝日カルチャー京都、第二日曜午後「季節の気功」は
お話が半分、実習が半分。
東山が見え、椅子式で楽な講座。

リピーターの方と初めての方のバランスもよく、
その時に応じたやさしい調整で、深く心身が変わっていく
とてもよい時間になっています。
12月の最終講座から。*次回は1/13「頭を楽に」春の準備に入ります。

2018/12/9 於:朝日カルチャー京都「季節の気功」天野泰司
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*冷える
冬の時期は、暖房や気候の影響で体が乾きやすい。
乾いた感じがあったら、水を飲むことが大事。
そして、冷えたら、「必要な時間だけ」暖めること。
「ふわーっとゆるむまで」が必要な時間。
そうして、ゆるみ、ひきしまる、収縮する力があることが
「冷えに強い」ということ。

*見えない処をきれいに
大掃除は、新年の清々しさを呼び起こす。
外の環境と私たちの内側は呼応していて、
掃除がすすむほど、体の内側がさっぱりする。

ふだんしないような処をきれいにするのは、外から内に響かせる良い方法。
「やりたい」気持ちが大切。
「やりたくないのにやっている」感が小さくなるように、
味わいながら。

今まで気づかなかった処に光をあてることで、
気づかなかった心身の違和感が消えていく。
見つけるだけで、その苦しい・悲しい感覚が消えていく。

掃除と同じように、体の違和感に集中することで
そこに滞留していたものが消えていく。

[実習・体のある部分の違和感に集中する]
気をあつめることを「行気」という。
その場所の呼吸、リズムを感じる。

[実習・頭部活点・脳活点・鎖骨のくぼみ・みぞおち・右・左、
おへその下・足の甲・かかとのつけねのてあて]

[実習・立って動く
長いゆすりを加えて体の大掃除。
違和感のある処に光をあてながら、体に任せる。

*集中する
心の辛さ、悲しみも同じ。解決しようとしないで、
映像を見ているように、思い浮かんだことをながめる。
そうすると、必要なものが必要な順序で立ち現れ、
自然に流れてゆく。

[実習・一年をふりかえる]
2018年を1月から順に追って、ただながめる。
いま、12月のきょうまできたら、
来年の12月、すべて終わった時の充実した感覚を思い浮かべて
「すばらしい1年でした」と、つぶやく。
(純)

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